庭にムスカリという名の花が咲いた。小さなブドウの実のような形をした花で、青紫色が鮮やかだ。本欄で1カ月ほど前に紹介した木瓜(ぼけ)の深紅色の花も満開になった。いよいよ待ちわびた春の訪れである◆こんな草木の香りに誘われて、冬ごもりをしていた土中の虫たちが地上に顔を出す。あす6日は二十四節気のひとつ「啓蟄(けいちつ)」。カエルなどの小さな生き物たちもいきいきと動き始める時季である◆中南米に、赤いカラフルな体から「熱帯雨林の宝石」と呼ばれるカエルがいる。イチゴヤドクガエルである。私たち人間と同じように、夫婦が協力して懸命に子育てをする姿がほほえましく、地元の人たちに人気があるという◆産卵で疲れているお母さんガエルに代わって登場するのがお父さんガエル。卵からかえったオタマジャクシを背中におんぶしたまま、子どもが食べる餌のある水辺を探して何日も移動し続ける(三上昇監修『いきものちょっといい話』)。おんぶしている子どもの体調を気遣いながら、途中であきらめずに探し続けるお父さんガエルだ◆何かと気ぜわしい3月。人事が発令され、新しい勤務地が決まって、引っ越しの準備を始める人もおろう。引っ越し先の保育園をどうするか、子育ての環境も変わり、不安も募ろう。子を一番に思う親の気持ちが切なく伝わってくる。(丸)

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