『象徴のうた-平成という時代』は毎週日曜日、連載は今日で59回(5面)。歌人永田和宏さんが天皇、皇后の歌1首を読み解きながら、両陛下のお気持ちや平成時代の出来事を綴(つづ)っている◆自然災害に幾度も見舞われた平成時代。両陛下は、その都度、被災地に赴き、被災者を励ましてこられた。冷たい床に膝をついて…。この姿が、国民との距離を縮め、新しい皇室のイメージとなった。そんなお二人の互いの信頼と愛情は、まさに夫婦の理想像とも思えるが、それを読み解く永田さんの夫婦愛にも心揺さぶられる◆京大時代、永田さんは河野裕子と出会う。「たとへば君ガサッと落葉すくふやうに私をさらって行つてはくれぬか」。河野21歳、出会ったころの1首。永田さんはこの歌にある「君」が自分なのか、はたまた他の誰かなのか、苦悩する若きころもあった◆河野裕子は2010年8月、64歳の生涯を閉じるが、連れ添った約40年、互いを詠んだ相聞歌が河野には500首余、永田さんにも約470首。「この桜あの日の桜どれもどれもきみと見しなり京都のさくら」(和宏)。こんな永田さんの思いも一緒にこの企画を読んでほしい◆間もなく退位される陛下が、「象徴」としての立場をどのように実践されてこられたか、きっと分かると思うのである。(賢)

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