ベトナムの首都ハノイには「文廟(ぶんびょう)」という名所がある。多久市の多久聖廟と同様に孔子をまつる。春秋時代後期、学問に志を立て、政治の世界へ入った孔子。晩年は人への愛情である「仁」を徳目として、それに基づく政治の実現を理想とした◆現代のこの2人も自らの理想の政治の姿があろう。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は鉄路65時間という長旅の疲れも見せず悠々とした表情に見えた。一方のトランプ米大統領は、かつてのベトナム戦争の地をどういう思いで踏んだろうか◆2度目となる米朝首脳会談は、昨年6月の初会談の時のような高揚感は感じられない。前の会談で高らかに掲げた「完全なる非核化」をどう具体的に進めるのかが焦点だ。融和ムードを演出するばかりの「政治ショー」に終わってはなるまい◆経済制裁の解除を望む北朝鮮と、「北朝鮮は経済のロケットになる」と表現するトランプ大統領。朝鮮戦争(1950~53年)の終結をうたう宣言も取り沙汰されているが、2人の理想の政治が同じ方向を向いているかどうかは定かではない◆孔子を指して弟子が語った『論語』に〈意なく、必なく、固なく、我なし〉がある。「自分の都合だけを考えない」といった意味だ。朝鮮半島の平和構築へ歩み寄る道はあるのか。今度こそ実のある中身を世界に示してほしい。(丸)

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