多久市郷土資料館書庫(旧多久村立図書館書庫) 

 西渓公園内の多久市歴史民俗資料館西側に、レンガ造りの瀟洒(しょうしゃ)な建物が建っています。大正13(1924)年3月に建てられた、旧多久村立図書館書庫です。

 江戸時代から多久は「多久の雀(すずめ)は論語をさえずる」といわれるほど、学問の盛んな土地でした。しかし明治以後、それまで学ばれていた儒学は急速にすたれていきます。多久領の学校「東原庠舎(とうげんしょうしゃ)」の教科書類は行き場をなくし、明治の学制改革によってできた新しい学校の屋根裏に一時的に収められていました。

 そんな状況を憂えた肥前の炭鉱王高取伊好(これよし)(現在の多久市多久町出身)は、実家に近いこの土地に公園と公会堂、図書館を建設し、当時の多久村へ寄付しました。

 図書館は木造でしたが、書庫は貴重な書物を火災から守るためレンガ造りにし、渡り廊下は火災の際は延焼しないよう取り外しができるようになっていました。さらに湿気から守るため床を高くし、通気口を設けています。図書館には東原庠舎の教科書類や領主多久家の古文書類のほか、多久聖廟の祭器なども収められました。

 昭和55年、老朽化のため木造の図書館は取り壊され、資料群は郷土資料館へ移管されました。しかしレンガの書庫は当時の姿のまま、貴重な資料を守り続けています。(志佐喜栄、多久市郷土資料館)

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