医療関係者をはじめ当日来場者が駆けつけたサガハイマットの医療フォーラム。重粒子線によるがん治療の関心の高さがうかがえた=佐賀市

 2013年に開設され、治療開始から5年を迎えた九州国際重粒子線がん治療センター(サガハイマット、鳥栖市)は、重粒子線によるがん治療の実績報告を初めてまとめた。同センターが扱う前立腺がんなど6部位のがん疾患の治療について、既存の治療法と比べた重粒子線治療の有効性を示した。

 実績報告では、2013年8月から18年10月まで、同センターの重粒子線療法の対象となる肝がんなど6疾患約3千人の治療成績がまとめられている。2年生存割合を基に、副作用の有無など、主にX線治療や化学療法などの治療結果と比較し、評価した。6疾患とも、2年生存割合や副作用の有無の面で、重粒子線治療の優位性を示す結果を報告している。

 注目されるのは同センターの全患者のうち約6割が治療を受けた前立腺がんの結果。専門医の報告によると、1年の治療症例で4年間の生化学的無再発率は95%で、副作用も少数。担当医は、前立腺がんにおいて重粒子線による治療回数は他の疾患と比べ少なく、同センターの関係者は「患者の日常生活の質において影響が少ない」と重粒子線治療による効果を強調した。

 昨年末、佐賀市で開かれたフォーラムでは一般参加者も同センターの実績報告を聴講した。会場から初期の肺がんに対する重粒子線治療の可否について質問があった。同センターの専門医は「手術を避け、むしろ重粒子線治療を選ぶケースは少なくない」と回答し、患者が仕事を続けていく上で、手術よりも重粒子線治療が、体の負担は軽減されると見解を示した。

 昨年4月から、前立腺がんの重粒子線がん治療は、保険が適用されている。300万円を超える高額治療費は、同疾患では助成制度を適用することで数万円で済み、同センターによると治療を希望する患者が増えているという。

 同センターは、今年に入り、熊本市で医療フォーラムを開くなど、九州での重粒子線がん治療の周知に努めている。

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