新規就農者の技術研修や空きハウスのあっせんなどで部会全体の底上げを図るJA伊万里きゅうり部会=伊万里市内

高収量の生産者が他の生産者に栽培方法を教える仕組みをつくり、全体の収量アップにつなげているJAさが神埼地区いちご部会=神埼市内

 意欲的に技術や経営の改善に取り組み、地域農業の振興に貢献している個人・団体を表彰する「佐賀農業賞」。受賞した17個人、団体のうち、「組織・集団の部」の最優秀賞と優秀賞の取り組みを紹介する。

最優秀賞・農林水産大臣賞 JA伊万里きゅうり部会

新規就農者の支援充実

 施設部会と露地部会を合併し、2013年に発足したJA伊万里きゅうり部会(部会員88戸)。全国的に農家の高齢化や担い手の減少が深刻な課題となる中、新規就農者の経営安定を第一に考えた支援体制を充実させている。13年以降、若手を中心にすでに15人が加入。出荷量、販売金額とも増加を続けており、部会は活気に満ちている。

 かつては他の産地と同様、生産者の減少が課題だった。「部会員数や面積が増えないと、共選、共販の有利性がなくなる。そのためには若い後継者を育てないといけない」と部会長の古川潤さん(51)。部会内の若手組織「胡青(きゅうせい)会」の発足が転機となった。

 30歳前後の若手が同年代でコミュニケーションをとり、環境制御などの新技術を積極的に導入した。各自のハウスを回って意見交換するなど技術研さんに熱心で、県内トップクラスの実績を残す生産者も。若手の存在を刺激にベテランも収量を伸ばす好循環が生まれ、部会の平均反収は県内トップを実現している。

 胡青会が活躍できるのは、部会全体で後継者育成に取り組んだ成果だ。離農や規模縮小による中古の空きハウスのあっせんや補助事業の活用など、初期投資を抑えて就農できる環境を整えてきた。スムーズに技術を習得して経営を軌道に乗せられるよう、地区別研修会にも力を入れる。

 今後も若手への支援を継続し、地域全体で「もうかるキュウリ栽培」を目指す。古川さんは「みんなで協議しながら問題点を解決するやり方を続ければ、おのずと部会は発展していく。若手の後継者に部会のあり方を伝えていくことも大事になる」と話す。

 

優秀賞・JA佐賀中央会長賞 JAさが神埼地区いちご部会

技術教え合い収量増加

 JAさが神埼地区いちご部会(部会員59戸)は、昨年度からイチゴの高収量を目指す独自のプロジェクトに取り組んでいる。収量の多い生産者が他の生産者に栽培技術を教える仕組みを導入、個人実績を公開して生産者同士の協議を重ねて改善し、県内トップクラスの実績を残している。

 25戸が参加する研修会では、生産者ごとの収量や販売金額、部会内順位まで記した紙が配られる。「すべてオープンにする条件で参加しているので、やる気が違う」と副部会長の森山和則さん(62)。昨季は一部の品種で病気が広がり、収量が低迷した。「自分の名前は成績表の一番下だった。つまずいた分を取り戻そうと必死に頑張っている」。新品種いちごさんをいち早く栽培し、今季は上位に名を連ねている。

 神埼地区は県内有数のイチゴ産地の一つだが、かつて300戸を超えた生産者数は減少が続く。そこで、一部の生産者が仲間内で5年ほど前から行っていた活動を部会に取り入れた。個別の実績をさらけ出して課題を共有し、生産者が長年の経験で得た独自の栽培技術も惜しみなく教え合う。部会長の中島辰義さん(62)は「データでその人の努力が見えるし、やるべきこともはっきりする。生産意欲を湧き立てられるかが大事」と強調。切磋琢磨(せっさたくま)する環境が生まれ、販売額向上につながっている。

 大手コンビニのスイーツ向けに加工、業務用の出荷を行うなど、ブランド強化や販売対策にも力を入れる。来年はいちごさんの作付けを全体の7割ほどに拡大させる考えだ。中島さんは「今後はプロジェクトを外にも広げ、神埼が佐城・三神地区活性化の起爆剤になりたい」と意気込む。

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