皇太子さまは59歳の誕生日を迎えられた。これに先立ち、記者会見で「国民の中に入り、国民に少しでも寄り添うことを目指し、国民と接する機会を広く持つよう心掛けてきた」と自らの歩みを振り返り「今後とも自分の活動の大きな柱として大切にしていきたい」と述べた。あと2カ月余りで、退位される天皇陛下から重責を引き継ぐ。

 陛下は天皇について「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と定めた現行憲法下で初めて即位。30年にわたり、象徴のあるべき姿と務めを模索し続け、退位の意向をにじませた3年前のビデオメッセージで「時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うこと」の大切さを国民に語り掛けた。

 その思いをしっかりと受け止め、次の時代に自ら体現していくという決意が皇太子さまの言葉からはうかがえる。と同時に「その時代、時代で新しい風が吹くように、皇室の在り方もその時代、時代によって変わってくるものと思う」と、時代にふさわしい象徴天皇と皇室の在り方を追い求めていく考えを示した。

 皇太子さまによる継承と挑戦を見守っていきたい。ただ、やはり気掛かりなのは皇族の高齢化や女性皇族の結婚によって皇室の先細りが進んでいることだ。この点について皇太子さまは会見で発言を控えたが、新たな時代に向け避けては通れない重い課題となろう。

 4月30日の退位を境に陛下は全ての公的活動から退く。翌5月1日に即位し新天皇、皇后となる皇太子ご夫妻は、これまで天皇、皇后両陛下が毎年臨まれた各地の「全国植樹祭」「国体」「全国豊かな海づくり大会」に伴う三つの重要地方公務をこなす。皇太子さまは長年「国民文化祭」に出席してきたが、これは即位後も続けるという。

 両陛下による「こどもの日」と「敬老の日」にちなんだ施設訪問については、4年前から負担軽減のため皇太子ご夫妻と秋篠宮ご夫妻が交互に足を運んでいたが、新天皇、皇后の活動になる。

 また皇太子さまは即位後間もない5月下旬、安倍晋三首相との首脳会談のために来日するトランプ米大統領を国賓として迎え、会見する。多くの公務について皇太子さまは、両陛下を「大きな道しるべ」として取り組んでいきたいと述べた。

 続いて、ライフワークにしている水問題の研究に触れ「これからの務めの中で国民生活の安定と発展を願い、防災、減災の重要性を考えていく上で大切に生かしていきたいと思う」と話した。

 国際会議の講演で開発途上国の女性や子どもが水くみなどの労働から解放されず、地位向上や教育の機会が阻まれる問題を取り上げたこともある。公的活動で自分のスタイルを見いだす足掛かりになるかもしれない。

 雅子さまについては「活動の幅が少しずつだが、着実に広がってきている。とはいえ、体調には波もある。引き続き、温かく見守っていただければと思う」と気遣いを見せた。ただ最近は、雅子さまが皇后となるのを前に活動への自信を深めている様子が伝えられることも多くなっている。

 そんな中、代替わりに伴う公務分担は担い手不足で、やりくりに苦労したようだ。年を追うごとに深刻さを増すのは目に見えており、皇族減少への対策を速やかに検討する必要があるだろう。(共同通信)

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