訪日クルーズ船の動向や唐津のポテンシャルについて講演する前嶋了二さん=16日、唐津シーサイドホテル

 創立30周年を迎えた民間通訳グループ「唐津ボランティアガイド」。16日の記念式典では大分県クルーズ誘致戦略アドバイザー前嶋了二さん(58)が講演し、欧米の富裕層をターゲットにした唐津市のクルーズ戦略について「唐津には彼らの知的好奇心を満たす観光資源がある」と評価した上で、持続可能な観光の実現に向け、欧米人が敏感な環境に配慮したまちづくりの重要性を強調した。要旨を紹介する。

 九州・沖縄への訪日クルーズ客数は拡大基調を続け、2013年の17万人から18年は245万人となった。ただクルーズ船はすべてが「豪華客船」ではなく、特に中国人乗客は「新中間層」が中心。「爆買い」は下火となった上、中国、韓国の業者が経営する土産店に流れるようになり、博多には金が落ちなくなった。

 また、九州は中国から1日でいけるという地理的アドバンテージ(優位性)があり、旅行会社は船を1週間単位で回し、多くの客を送り込む「薄利多売」でやってきた。それは一方で観光地や商業地でのオーバーツーリズム(観光公害)などの問題を生んでいる。

 クルーズ船は船が小さいほどランクが高い。唐津は大型船が入港できないゆえ、「ラグジュアリー」と呼ばれる欧米の高級小型客船に狙いを定めてきた。クルーズ市場が富裕層と新中間層に二極化する中、唐津の戦略は時機を捉えている。

 富裕層は知的好奇心、本物志向が高く、唐津にはそのニーズに応える優れた観光資源がたくさんある。日本を代表する陶芸がそうであり、玄界灘からの入港時、唐津城や虹の松原の向こうに山々を望む風景は美しい。クルーズ船客の行動圏は1時間以内とされ、有田や伊万里にも行ける。周辺の自治体とも連携すれば唐津の魅力はもっと上がる。

 ただ、その日だけのクルーズ船滞在では発展性がない。帰国後、友人に魅力を伝えてもらう。次は飛行機で来て数日滞在し、焼き物や茶道を体験しようと思わせる。リピーター性を高めることで、マーケットが広がっていく。

 良い観光客は環境問題への意識が高い。ペットボトルやストローにしてもそう。唐津という空間が環境に優しい空間であることを認識させる自治体戦略が必要だ。住む人にも訪れる人にも心地よい、バランスのとれた観光地を実現する。それが短期的収益ではなく、持続可能な観光につながっていく。

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 「唐津ボランティアガイド」30周年記念式典には会員ら85人が出席。3代目会長の田中丸昌子さん(63)は「インバウンド時代を迎え、出動の機会も増えた。外国人観光客が言葉の壁を越えて旅を楽しんでもらうよう、30周年を次の時代への歩みの活力としたい」と述べた。

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