佐賀市の情報提供同意書。個別支援計画書も兼ね、身体の状況や避難支援員の氏名、連絡先、服薬名などを記入する欄がある

 佐賀県内で作成率が22%にとどまっている「災害弱者」の個別計画は、作成に必要な本人の「同意」や支援員の担い手不足が課題となっている。市町によって作成率に差があり最高の江北町は約8割で、県平均の約2割を大きく上回る。計画作成に着手できていない町もあるなど、取り組み方にばらつきがある。

 個別計画は、支援員への平時からの情報提供を前提としているため、本人の同意が必要になる。佐賀市では、同意率が要支援者の31・7%にとどまっているため、計画作成はさらに低い25・3%となっている。制度周知を課題ととらえ、市報で告知するなど同意率アップに取り組んでいる。

 同意率は他県でも課題になっている。九州では宮崎市が独自に条例を制定して「逆手挙げ方式」を採用している。情報提供を拒否する人が手続きすることになっており、県内20市町の「同意方式」とは逆になる。

 逆手挙げ方式では、「同意漏れ」の問題はなくなる一方で、障害の有無など個人情報を他人に知られたくない人もいるため、制度を把握していない場合に本人が知らないうちに個人情報が支援者に伝わる可能性があるなどの課題も残る。

 支援員の担い手不足も影を落とす。近隣住民などが支援員となるが、1人で複数人を受け持つ場合に迅速な避難が難しくなる。同意を得た後も支援員が決まらず、個別計画が作成できないケースもある。

 支援対象者も自治体の裁量によって拡大できる。佐賀市に次いで対象者(名簿掲載者)数が多い小城市は、精神障害者保健福祉手帳1級や特定疾患患者、一人暮らしの高齢者、高齢者だけの世帯も独自に対象にしており、その分、支援員確保が必要になる。

 支援対象者(名簿掲載者)数が最多の佐賀市は「支援が必要な人の情報を地域で共有できるよう、まずは同意率を高めるための掘り起こしを進めたい」としている。作成率が低い鳥栖市は、「昨年の西日本豪雨被害を受け、改めて対象者に同意願いを送付した。同意を元に個別計画の作成を急ぎたい」としている。

 同意率が最高の江北町では、障害者手帳の更新時などに制度の説明をして計画作成を勧めている。同町担当者は高い同意率を「地域のつながりが強いことが一番の理由では」と分析。「普段から顔見知りなので、安心して支援員を依頼できるのだろう」と話す。

 作成未着手の有田町は、地域防災計画の改定に合わせ3月中には同意書を全対象者に送付する予定で「大雨被害のリスクが高まる6月までにできるだけ多くの個別計画を作成したい」としている。

避難行動要支援者名簿

 災害時に自力避難が困難な人を掲載した名簿。要介護認定者、身体障害者1・2級(第1種)、療育手帳Aを所持する知的障害者、精神障害者保健福祉手帳1・2級、生活支援サービスを受けている難病患者などが対象。県内では「要支援1・2」や「一人暮らし高齢者」などを独自に掲載対象としている市町がある。

このエントリーをはてなブックマークに追加