札幌の都市開発にかかわり、「北海道開拓の父」といわれた島義勇。佐賀市の佐賀城公園の一角に建つ銅像は、広大な自然と向き合おうとする視線が頼もしくもある。その札幌の地下鉄駅で今月から、ある曲が流れている。トワ・エ・モアの澄んだ歌声が印象的だった「虹と雪のバラード」である◆1972年札幌冬季五輪のテーマ曲。2030年五輪招致の機運を高める狙いという。もし実現すれば、札幌で58年ぶりの五輪開催となる◆〈生まれかわる サッポロの地に きみの名を書く オリンピックと〉。地下鉄で流れるメロディーに歌詞はないが、懐かしいフレーズが自然に口に出るのは50代半ば以上の世代だろう◆札幌は26年五輪に名乗りを上げていたが、平昌(18年)、北京(22年)とアジアで冬季五輪が続くことや北海道地震の影響もあって、これを断念。目標を30年に切り替えた。20年の東京五輪からすると25年の大阪万博、札幌五輪と5年ごとにビックイベントが続くことになる◆五輪だからといって、高度成長期のようにもろ手を挙げて歓迎とばかりはいかない。「夢よ再び」という願いはともかく、札幌市民の間では五輪後の施設の維持管理費など財政的な負担を心配する声が少なくない。札幌の基礎を作った島義勇。いまなら五輪招致をどんな思いで見つめていようか。(丸)

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