鳥栖市長選は現職の橋本康志氏が苦戦を強いられ、紙一重の勝利となった。新産業集積エリア整備事業で農地法違反の報告を受けた後も1年以上公表せず、鳥栖駅周辺整備事業では計画発表直後に白紙撤回するなど、市政停滞に対し有権者が猛省を促した結果とも言えよう。

 対立候補を模索していた自民鳥栖市支部による人選が難航し、無投票の観測も流れる中、橋本氏は昨年9月に立候補を表明した。その直後、牟田秀敏前市長時代に市秘書係長を務めた槙原聖二氏が自民の要請を受けて出馬を決意、11月に市役所を退職し、一転して注目の選挙戦になった。

 当初、橋本氏の優位は動かないとみられていたが、農地法違反問題、鳥栖駅周辺整備計画の突然の白紙撤回などに対し、市議会や市民から厳しい批判が出され、逆風が強まっていった。有権者から多選の弊害を指摘する声も聞かれた。最終的には「駅周辺整備断念は想定外の事業費拡大が理由」という説明で一定の理解を得たともいえるが、「次の4年で新たな方向性を示す」との約束を確実に果たすことが求められる。

 人口増を続ける鳥栖市だが、現市政には事業、政策を前に進めるスピードが不足し、「鳥栖市の高いポテンシャルを生かし切れていない」との指摘も多い。選挙戦で「九州の中心都市として発展していく基盤をつくりたい」と述べたが、それもまた、スピード感を持って着実に進める責任を負う。(鳥栖支社長・高井誠)

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