自身が作曲したさが総文テーマ曲「Fly」をピアノで奏でる脇山昇大さん=唐津市の唐津東中

 7月27日から佐賀で始まる第43回全国高校総合文化祭(さが総文)。全国から2万人が集まる文化部の祭典を飾るのがテーマ曲「Fly」だ。作曲したのは唐津東中3年の脇山昇大さん(15)。学校に行っていなかった時期、「さあ飛べ」という歌詞に、口をついて旋律が生まれてきた。テーマ曲への選定が、再び教室に戻るきっかけにもなったという脇山さんは、春から高校へ進学。開会式で「Fly」が奏でられる夏を心待ちにする。

 曲の公募を知ったのは中学1年の冬だった。当時は週1日程度しか学校に足が向かず、自宅で作曲に明け暮れていた。学校に不満があったのではない。音楽しかやりたくなかった。

 先催県のテーマ曲を動画共有サイトで聞き、ゆったりと穏やかで歌いやすい曲にしようと決めた。「さあ飛べ」と呼び掛ける力強い歌詞に、サビの旋律はすぐに口をついて出てきた。鼻歌を元にパソコンに楽譜データを打ち込み、曲を作り上げていった。

 テーマ曲に選ばれたと知らせが届いたのは中2のクリスマス。うれしくて、「選ばれたことを誰彼構わず伝えたい」と思った。

 「Fly」は大会準備のために吹奏楽部が演奏し、合唱部が歌い、CDにされて各校に配布された。自分の曲が楽譜を飛び出し、広がっていく-。脇山さんは録音現場や演奏会場に何度も足を運び、その様子を見守った。

 さが総文という共通の話題で、たくさんの人と出会いがあった。吹奏楽部や合唱部の生徒、構成劇のキャストらと話すうち、「人と話すって楽しい」と感じるようになった。教室へ行く日が徐々に増え、脇山さんは登校するようになった。

 昨年11月、佐賀市文化会館を900人余りが埋めたプレ大会総合開会式。客席で聴く脇山さんの前で、吹奏楽部が重厚に「Fly」を演奏した。メインの構成劇には作曲に取り組む男子生徒役が登場した。内気だが激しさを内包する生徒が絞り出した「ネットのやつらに負けたくない」。せりふはそのまま、役のモデルとなった脇山さんの思いだった。そして「Fly」の合唱がフィナーレを飾る。壮大で、女声と男声の重なりが迫力ある世界をつむぎ出す。夢中で拍手を送った。見知らぬ女性から「きれいな曲ね」と声をかけられ、思わず顔を赤らめた。

 7月の総合開会式。「テーマ曲の作曲者は招待してもらえるんでしょうか…」。プレ大会の総合開会式は自分で入場整理券に応募して行った。パソコンに楽譜データを打ち込み、デジタルな世界で生み出した「Fly」が、現実世界で翼を得て、羽ばたくさまを自分の目で確かめたいと思っている。

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