九州新幹線長崎ルートの武雄温泉-長崎間の暫定開業に合わせて整備されるJR佐世保線の複線化区間について、事業主体になる独立行政法人鉄道・運輸機構が、現行の「肥前山口-武雄温泉間」から「大町-高橋間」に短縮する事業計画の変更を国土交通省に申請したことが14日、分かった。肥前山口-武雄温泉全区間の複線化を求める佐賀県は難色を示している。

 これまでの計画は、在来線を走行するフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の導入を前提とし、単線となっている佐世保線の肥前山口-武雄温泉間(12・8キロ)の複線化が含まれている。2016年3月に新幹線と在来線特急を武雄温泉駅で対面で乗り換える方式で暫定開業することを佐賀県や鉄道・運輸機構、国交省など関係6者で合意した。

 この6者合意では、22年度の暫定開業までに大町-高橋間6・9キロを複線化し、その後の工事は段階的に実施する内容になっている。長崎ルートの建設費が約5千億円から約6200億円に増えるのを受け、鉄道・運輸機構が今月6日に国交省に提出した工事実施計画の変更認可申請で、複線化の区間が大町-高橋間に変更された。また、断念が決まっているFGTの導入の前提も削除された。

 山口祥義県知事は14日に開会した県議会でこの申請を取り上げ、「6者で合意した内容と異なっている」との認識を示した。その上で「関係者には合意したことは守る姿勢で取り組んでもらいたい」と強調し、全線複線化の確実な実現を求めた。

 国交省の担当者は「機構からは、FGTを断念した状況で対面乗り換え方式で開業するために必要な工事を盛り込んだと説明を受けた。詳細は今後、審査しなければならない」と話す。

 県は、申請に関する国からの意見聴取の中で考えを示す。県新幹線・地域交通課は「在来線の活用や輸送力の強化などのために全線複線化は必要」としている。長崎ルートを巡っては、未整備区間の新鳥栖-武雄温泉間に関し、FGTの導入断念に伴いフル規格化かミニ新幹線の整備での検討が進んでおり、県は整備方式の変更に否定的な立場を示している。

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