九州電力は、玄海原発1号機(東松浦郡玄海町)に続き、運転開始から38年となる玄海2号機の廃炉を決めた。東日本大震災による福島第1原発事故から間もなく8年を迎える。事故を教訓に、原発の依存度を減らす流れや、原発の運転期間を原則40年としたルールに沿った当然の帰結といえる。廃炉作業に着手した1号機同様に2号機も廃炉完了まで30年を要するが、放射性廃棄物の処分場所は決まっていない。使用済み核燃料の問題を含め、住民の懸念を払拭(ふっしょく)するためにも、先送りを続けず、検討を急ぐべきだ。

 玄海2号機は1号機と同じ出力55万9千キロワットで、昨年再稼働した3、4号機の118万キロワットと比べ半分の規模だ。震災前の2011年1月に定期点検に入り、運転を停止していた。九電は震災後、電力需要を賄うためとして3号機とともに早期の再稼働を目指していたが、いわゆる「やらせメール」問題が発覚しいったん頓挫、安全対策をより厳格にした新たな規制基準も定められ、長期停止を余儀なくされた。

 1号機は運転40年を迎える2015年に廃炉を決定した。新規制基準を満たすための安全対策に巨額の費用が必要で、20年延長が認められたとしても採算が合わないと判断し、断念した経緯がある。このため2号機も、同じ判断に至る可能性が高いとみられていた。

 九電の池辺和弘社長は記者会見で、テロ対策として義務付けられた施設を整備するために必要な用地を確保できないことを、運転延長断念の要因に挙げた。採算性を詳細に詰める前に、物理的な側面で早期の経営判断に至ったことを強調した。緊急時の制御室や電源、注水ポンプを常備するテロ対策施設は、同時破損を防ぐため原子炉建屋から100メートル以上離れた場所に整備することが求められており、十分な用地がなかったとしている。ただ、玄海3、4号機と川内1、2号機(鹿児島)の安全対策で合わせて9千億円以上をかけていることを考えれば、さらなる巨額の投資は、判断材料として決して小さくなかったとみられる。安全対策が老朽原発にとっていかに高いハードルになっているか。逆に言えば、「安全神話」に対する一定の歯止めとなっている。

 九電は2号機廃炉で原発が4基体制になっても、安定供給に支障はないと説明している。一方で、太陽光発電などの再生可能エネルギーの出力制御を強いる事態がたびたび起きている。その点からもこれ以上の原発による電力の必要性は乏しく、再生可能エネルギーの促進を目指す上で、廃炉は必然だった。玄海3、4号機も15~17年後には運転40年に達し、廃炉検討の対象になる。必要性の論議は、原子力規制委員会の審査を経て、使える原発は全部使うという考え方ではなく、電力需要を満たすためには何基稼働しなければいけないか、原発はいつまで必要なのかという視点が肝要である。

 全国規模で「廃炉の時代」が続く。廃炉に伴う放射性廃棄物を、敷地内で地中処分する計画をしている原発もある。玄海原発は未定だが、その可能性はくすぶる。「核のごみ」問題をいつまでも置き去りにすることは許されない。国策として原発を稼働させる以上、政府と電力会社は一日も早く道筋を示す責任がある。(辻村圭介)

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