多くの人が一瞬言葉を失い、じっとニュースに耳を傾けたに違いない。競泳女子の池江璃花子(りかこ)さん(18)が自身の白血病を公表した。これだけ高い関心を集めるのは、アスリートとしての実力だけでなく、前向きな姿勢や誠実さが胸を打つからだろう◆それは彼女自身のコメントが物語っている。「いまだに信じられず混乱している状況です」と正直な心の内を語りながらも、日頃の応援への感謝をつづり、こう続けた。「今は少し休養を取り、治療に専念し一日でも早く、さらに強くなった姿を見せられるよう頑張っていきたい」◆個人5種目の日本記録を持ち、昨夏のアジア大会で前人未到の6冠を達成した。予選から決勝とレースに出ずっぱりだったように思う。疲労や緊張感の重なりが病につながったのか◆それでも病名公表を自ら望み、闘病への姿勢をみせた。通常では考えられない気持ちの強さを感じる。来年に迫った東京五輪がどうしても気になるが、本人も語っているように今は治療に専念してほしい◆随筆『いのちを愛でる』で俳人の中村汀女(ていじょ)は書く。「それにしても、私は冬の木々の美しさ、たくましさをだれにも告げたい」「そして明日咲く花のあるたのしさを思いつつ、私は句を作る」。冬の木々のように寒さに耐え、また大輪の花を咲かせる舞台へ戻る日を待ちたい。(丸)

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