物知りの知人が、人の名字は日本のどこかの駅の名前と大方一致する-と言うのである。まさかと思って自分の名字を探したら、何とそれが近鉄名古屋線の駅に確かにあって驚いた◆誰でも持っている名字。だが、江戸時代には名字を持っている人もいたが、公的に一般民衆が名字を持つことは許されず、江戸の民衆調査の台帳となる「宗門人別改帳」には名字を持っていたとしても記載されず名前だけが記されていた◆明治になって、誰でも自由に名字を名乗ってもいい新法ができたが、長年、名字無しに慣れていた人たちは、新しく名字をつけることに関心を示さなかったそうだ。そこで新政府は1875年2月13日、「先祖以来、苗字不明の向は新たに苗字を設くべし」と太政官令を出したのである◆漢字で「名字」と書いたり、「苗字」と書いたり。今では「名字」が一般的だが、字源辞典などによれば「名字は土地と結びついたもので、苗字は祖先の氏・素性を表したもの」だそうだ◆なるほど、日本のどこかの駅名と名字が一致するというのもうなずけるが、命令は出ても習慣とはやっかいなもので、農村部などでは名字よりも、その家の慣れた屋号で家や個人を識別することが続いたようである。と言うわけで、太政官令が出された2月13日を“名字記念日”と言ってもよさそうだ。(賢)

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