生きとし生けるもの。鳥であれ、魚であれ、植物であれ、生き物としての賢い知恵が備わっている。そう感じさせる研究結果があった。魚に「自分を認識する能力がある」というのだ◆ホンソメワケベラという魚。水槽に鏡を入れて観察すると、鏡の前で突然ダッシュしたり、自分の姿を頻繁にのぞき込むようになったという。大阪市立大の研究チームが発表した◆このベラは、体に付いた寄生虫を取り除こうという習性がある。そこで喉に寄生虫に似た茶色の印を付けた上で鏡を入れると、砂や石で喉をこすり、再び鏡を見に行く行動も見せたというから驚きだ。「自己認知」の能力はカラスの仲間でも観察されている◆植物にも不思議な仕組みがある。例えば、開花情報が届く梅。夏につぼみを作っているが、だからといって秋に花を咲かせると冬の寒さのために種を残せない。そこで秋の間に「越冬芽(えっとうが)」という硬い芽をつくって眠っている状態になり、やがて眠りの原因となるアブシシン酸という物質が分解されて目覚め、開花に至る(田中修著『植物のひみつ』)◆かのベラ君。「高度な知性や洞察力を持っているかもしれない」という研究チームの教授の言葉にちょっとドキリとした。われわれ人間は生き物の賢さに気づかず、自分たちだけが高等だと勘違いしているのかもしれない。(丸)

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