水質浄化などによる環境改善に向けて造成が進む有明海のカキ礁=佐賀市川副町

NPO法人などが実施したカキの稚貝を付着させるための支柱立て。環境改善に向けてカキ礁の造成が進められている=昨年7月、有明海

 有明海再生に取り組む佐賀県は新年度から、有明海湾奥部で造成している「カキ礁」の環境改善効果の調査研究に乗り出す。県内の干潟や河口域で漁業者や市民団体がカキ礁を復活させる取り組みを進める中、海域のデータを収集し、水質の浄化や造成に適した場所などを実証して活動を後押しする。

 有明海はかつてカキ養殖が盛んで、佐賀市出身で江崎グリコの創業者の江崎利一(1882~1980年)が有明海のカキをヒントにキャラメル菓子「グリコ」を生み出したことでも知られる。ノリ養殖が広がるのに伴って、カキ殻がぎっしり積み重なったカキ礁は除去され、急減した。

 二枚貝のカキは赤潮の原因となる植物プランクトンを食べるなど水質浄化機能がある。カキ礁は魚の産卵場やえさ場の役割があり、環境悪化の要因とされる貧酸素化の抑制も期待されている。漁業者や市民団体は有明海再生につなげようとカキ礁の造成を進めており、稚貝を付着させて育てるための支柱立てを各沿岸で実施している。

 県はカキ礁の客観的な改善効果を示すことで、活動の拡大や情報発信の強化につなげる狙いで調査に入る。事業期間は5年で、水質や底質の変化、カキの発達状況などを検証し、ドローンを使ったカキ礁の分布調査も想定している。造成の適地を整理するほか、生育しにくい干潟についても造成の可能性を探る。

 環境省の有識者会議「有明海・八代海等総合調査評価委員会」が2017年3月に取りまとめた有明海再生に関する報告でも、再生の手だての一つに、カキ礁を再び形づくるための実証事業を示していた。

 県は14日に開会する定例県議会で提案する新年度一般会計当初予算案に事業費1285万円を盛り込んでいる。県有明海再生・自然環境課は「現場で頑張っている人たちの成果を示し、連携して再生に取り組んでいきたい」と話す。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加