子どもたちによる値賀川内の盆綱引き=2018年8月15日、東松浦郡玄海町(提供・文化庁)

 文化審議会は8日、消滅の恐れがあり記録として残すべき無形民俗文化財(選択無形民俗文化財)に、佐賀県と福岡県に広く分布する盆の綱引き行事「北部九州の盆綱」を選ぶよう答申した。県内では唐津市鎮西町波戸の「海中盆綱引き」が知られているが、盆綱は関東でも伝承されている。こうした分布上の関係性も注目され、盆行事や綱引き習俗の地域差と変遷を考える上で貴重とされた。

 北部九州の盆綱は、綱を引き合ったり、綱を曳ひいて地区内を巡ったりすることで盆に訪れる先祖の霊を慰め、送る習わしで、多くは子どもの行事として伝承されている。文化庁の調査官は「戦前は両県で100カ所以上はあったと考えられ、高度経済成長期に消えていった」という。

 佐賀県文化財課は、県内では唐津市鎮西町の波戸、串、馬渡島、加唐島の4地区と東松浦郡玄海町値賀川内、小城市牛津町内砥川の計6地区での実施を把握している。かつては小城市三日月町や武雄市若木町などでも行われていたという。

 今後、県が記録作成に取り組み、経費の半分を国が助成する。「選択無形民俗文化財」に決定したのは県内で13件目。

 東松浦郡玄海町値賀川内の盆綱引きはかつて男子の行事だった。昨年は小中学生の男女14人が稲わらから綱をつくり、勝負した。地元子どもクラブの池田裕樹会長(34)は「町内でも知る人が少ない行事。子どもが10人以下に減ると難しくなるが、今後も続けていきたい」と話している。

 民俗文化財は各地域に根差した風俗慣習、民俗芸能などが対象。衰退や変化の恐れがあるため「選択無形民俗文化財」は、まずは記録保存が重要と捉えて選定している。

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