「口」という言葉で成り立つことわざはたくさんある。〈口は禍(わざわい)の元〉〈口八丁手八丁〉。いらぬ話は慎むべしという戒めが多いようだ。と、ここまで読んで「ははーん、麻生さんか」と思った方も多いだろう◆相手は大政治家。コラムで分かりきった指摘をするのも情けない。しかし「麻生さんだから仕方あるめえ」と見過ごすことは危ない。なぜかというと政治へのあきらめを助長しかねないからだ◆麻生太郎副総理兼財務相が少子高齢化をめぐる発言で問題になった。「年寄りが悪いみたいなことを言う変なのがいっぱいいるけど、それは間違いだ。子どもを産まなかった方が問題なんだから」と◆子どもを産み育てようにも経済的に厳しい。長時間労働を強いられる職場の改善が進まない。そんな社会的な問題があるのに、女性という個人が原因かのような話にすり替わる。そして政治の中枢にある人が言い放つ。「また麻生さんか」で済まされないのはそんな理由からだ◆昨年来、政治の場でいろんなごまかしや言いくるめが横行した。形だけの失言撤回も。その繰り返しが「何を言っても同じ」という政治へのあきらめにつながっていないか。〈口開けて五臓(ごぞう)の見ゆる蛙(かえる)かな〉。蛙が大きな口をあけると内臓まで見えるということから来たことわざ。政治家を見極める戒めとしたい。(丸)

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