全町民約6300人分の個人情報を持ち出したとして職員が逮捕されて1週間を迎えた玄海町役場。庁内外で動機をいぶかる声があがる=東松浦郡玄海町

 東松浦郡玄海町役場から全町民約6300人分の個人情報を不正に持ち出した町個人情報保護条例違反の疑いで元住民福祉課長の容疑者(53)=玄海町仮屋=が逮捕され、7日で1週間となる。個人情報を何に利用したかは分かっておらず、庁内外で「何のために」といぶかる声は尽きない。容疑者は第三者への情報流出は否定しているが、警察は慎重に捜査を進めている。

 容疑者は、総務課長だった2017年5月18日に、13年3月時点の個人情報約6300人分を町役場から持ち出したとされる。

 接見した弁護士によると、容疑者は「持ち出しは業務目的。役場でできなかった仕事を自宅でしていた」と話しており、第三者への流出は「ない」と否定している。

 持ち出された内部資料など約35万件のデータに職員の人事評価や会議資料があったことから、町幹部も自宅で仕事をしていた可能性を否定しない。ただ、6300人の個人情報については「持ち出し時から4年も前の情報を使う仕事もないのでは」と首をかしげる。容疑者と面識がある町民も「ばれれば全てを失うことは分かっていたはず。そんなリスクを越えてでも持ち出す理由は想像もできない」と話す。

 容疑者の逮捕は今年1月31日だったが、ウイルス対策ソフトを違法に使用した疑いで昨年11月にも自宅と役場に家宅捜索が入った。町は警察の捜査が終わってないことや、容疑が未確定なことを理由に処分しなかった。以降も容疑者は普段通り働いていた。

 別の自治体の元幹部は、この町の対応に疑問を呈する。「役場に捜査の手が入るのは重大事案。公務員としての信頼を失墜させる行為」と指摘。「地方公務員法に基づく処分ではなくても、『総務課付』などの更迭人事は必要だったのでは」と話す。ただ、役場内には「個人情報の持ち出しは昨年11月以前のこと。処分で防ぐことはできなかった」との声も。容疑者は1日付で総務課付に異動した。

 町は、業務上で取得した情報を業務後に削除したかを二重に確認する仕組みを検討している。ただ町幹部からは「最後は職員のモラルを信頼するしかない」と本音も漏れる。

 計105点に上る押収品には、パソコンやハードディスクも多数含まれている。警察はほかにも持ち出された情報がないか調べており、解明には時間がかかりそうだ。

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