神埼のヘリ墜落事故の原因調査の状況を話す山崎幸二陸上幕僚長。事故から1年となるが、原因解明に至っていない=東京・新宿区の防衛省

墜落機と同型のAH64D戦闘ヘリコプター(通称アパッチロングボウ)=2015年10月、神埼郡吉野ヶ里町の陸上自衛隊目達原駐屯地

 神埼市の住宅に陸上自衛隊目達原駐屯地(神埼郡吉野ヶ里町)のAH64D戦闘ヘリコプターが墜落した事故から、5日で1年を迎える。防衛省は主要部品を構成するボルトの破断が事故につながったと昨年5月に中間報告して以降、破断の原因はまだ解明できていない。最終報告の時期について、関係者からは「年内」とする見方もあり、慎重な調査が進められている。 

 防衛省が昨年5月に発表した中間報告では、主回転翼の羽根と機体の回転軸をつなぐ「メインローターヘッド」の内部にある金属製ボルトが破断し、羽根が外れたことで墜落したと指摘。パイロットや整備士のミスに起因するものではないと結論付けた。

 防衛省はボルト破断の原因に関し、設計上の強度不足、部品の保管状況の影響、事故機の部品にだけ生じた問題か、といった多角的な視点で調査しており、外部識者を加えた事故調査委員会はこれまでに8回、直近では1月23日に開いた。

 防衛装備庁によると、事故機の製造元の米ボーイング社や金属の専門機関の協力を得て調査しているが、「現時点で公表できるものはない」とし、最終報告の時期についても「予断を持って答えられない」としている。ただ、関係者は「そんなに時間をかけるつもりはない。あと1年かかる話ではない」と語る。

 事故調に参加しているビー・アイ・テック(岐阜県)社長でヘリに詳しい板東舜一氏は「複雑で重要な部品が山のようにあり、分解や検査をして段階的に原因を絞り込んでいる。『アパッチ』(同型機)は世界に1千機あり、統計学的な分析もしている」と時間を要している背景を指摘する。その上で、最終報告時期は「そう遠くない」とみる。

 元航空自衛隊航空事故調査部長の永冨信吉氏は「ボルトの材質など原因によっては関係先との訴訟問題にもなりかねず、慎重になっているのでは」と調査長期化の背景を推察。「再発防止が調査の目的。十分に調査した上で、飛行再開を判断すべき」と話した。

 ヘリは昨年2月5日午後4時43分、定期整備後の試験飛行中に墜落し、住宅が全焼した。乗組員2人が死亡、家にいた小学生の女児がけがをした。

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 目達原駐屯地によると、殉職した隊員2人の慰霊行事を部隊ごとに実施するとしている。日時は非公表。

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