千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(10)の虐待死事件が新たな展開を見せている。父親に続き、母親も傷害容疑で逮捕された。この家族にいったい何が起きていたのか。見逃してはならないのが家庭という閉ざされた密室に君臨する父親の存在である◆心愛さんが虐待を訴えたアンケートのコピー。これを市教委の職員が父親に渡してしまったことが批判されている。「父親の威圧的な態度に恐怖を感じた」というのがその理由だ。母親もまた父親に同様の恐怖を感じ、正常な判断ができなくなってしまったのか◆思い出すのは20年ほど前に北九州市で起きた事件である。主犯の男は虐待という暴力によって自分を頂点とする支配構造を築いた。その結果、親族同士が攻撃し合い、7人が死亡するという事件に発展した。支配と服従。密室の果てだった◆女児の父親は夜中に冷水シャワーを浴びせ、殴ったり蹴ったりしていた。暴力による支配を「しつけのつもりで悪いことをしたとは思っていない」と供述している。わが子への冷淡で無慈悲な行動。そこには一般には理解しがたい父親がいる◆母親に対して「それでも娘を守るべきだった」と責めることは簡単だ。が、外からは見えにくい家庭という密室で父親と家族の関係がどうだったか。きちんと解明しないと同じことがまた起きる。(丸)

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