各自治体をつないで行われたテレビ会議。画面に内閣府の映像は映し出されていない=佐賀県庁

 九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)の事故を想定した2日の原子力防災訓練は、テレビ会議に内閣府が参加できないトラブルが起きたほか、住民避難の集合場所が訓練のために避難計画以外の場所に変更されるケースもあった。訓練で課題を把握できたとも言えるが、想定の甘さや事故時の対策の不十分さも浮き彫りになった。3、4号機の再稼働後、初の訓練に、市民団体からは「緊張感が足りない」と厳しい声が上がった。

 「内閣府は電源の不調により、今回の会議には参加しませんのでご承知おきください」。午前9時15分に始まった佐賀、福岡、長崎3県と玄海町、唐津市のテレビ会議。参加予定だった内閣府の映像は出ないまま、唐津市のオフサイトセンターに詰める原子力規制庁の職員が代行した。

 前日まで問題はなかったが、直前のテストでつながらないことが判明した。重大事故時には国の対策本部の事務局として各現場の情報を集約し、住民の避難指示など政府の決定事項を伝える重要な役割を担う。内閣府は県に対し「原因は調査中」と説明している。

 山口知事は「訓練は極めて重要なので、国にはしっかりしていただきたい」と不快感を示した。テレビ会議の参加予定者が、事故時に対応する政策統括官ではなく別の職員だったことにも疑問を投げ掛け「(こちらは)3県知事が手順を確認してやっている。本人が出てきて訓練してもらう必要がある」とくぎを刺した。

 一方、唐津市北波多の徳須恵地区から小城市までバスで避難する訓練では、住民の集合場所を避難計画で示した北波多小ではなく、約200メートル南の北波多市民センターに変更した。住民には連絡していたが、県外からの視察者や報道機関には周知していなかった。

 唐津市によると、徳須恵地区からは20人が参加。大型バスを手配したが、現地との調整で「大型バスは入りづらいのでは」という意見があり、市の担当者は「訓練の進行上、余裕を持って事前に変更した」。避難計画では、複数の地区の集合場所が北波多小となっており「集合場所の変更が持ち上がる可能性もゼロではない」としている。

 玄海町の児童生徒のバス避難でも、休憩所や避難先で駐車場が十分になく、一時混雑した。

 避難訓練の在り方に疑問を持つ市民団体の石丸初美さん(67)は「訓練のための訓練では意味がない。事故になれば想定外だらけのことが起こるはずで、シナリオがある訓練でこれでは住民を守ることができるのか」と批判した。

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