全島民避難訓練で旅客船に乗り込む住民=2日午前、唐津市肥前町向島

 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働後初めてとなった2日の県原子力防災訓練は、離島の避難規模を実数に合わせたり、ヘリコプターが伝える情報から交通渋滞を回避するなど、「有事」を見据えたものになった。一方で、参加した住民や行政関係者からは十分な備えをして臨む訓練と、実際の災害発生時との違いを懸念する声が相次いだ。 

■向島全島避難 島民「自分の船で」ヘリ活用

 玄海原発から直線距離で約6キロの唐津市肥前町の向島(むくしま)では、6隻の船を使い実際の住民の数(54人)と同規模の島外避難を初めて実施した。行政側が混乱防止へ手順に沿った避難行動の重要性を訴えるのに対し、住民からは「自分の船で逃げる」との本音も漏れ、意識差が浮き彫りとなった。

 54人のうち参加住民は13人で、残りは唐津市職員らが住民役を務めた。住民らは放射線防護対策が施された小学校の分校に集まり、甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の説明を受けた後、船着き場へ。海上自衛隊や旅客船協会などが用意した6隻の船に乗り込んだ。寝たきりの人がいた場合を想定し、自衛隊のヘリコプターを使った搬送もあった。

 海上自衛隊の船が離島の避難訓練に参加するのは初めてで、唐津市の担当者は「各機関との協定に基づき、輸送手段が実際に確保できることを確認できた」と意義を語る。

 船の到着から出発までにかかった時間はいずれも10分程度で「計画通り」(市担当者)。一方、初めて島外避難に参加した樋口順子さん(62)は時間がかかりすぎと感じたという。「船やヘリコプターを呼ぶよりも、自分の船で逃げた方が早い」と話す。

 消防団員で住民の避難誘導などを担った樋口健太郎さん(35)は普段、定期船の操縦士をしている。「訓練だから準備万端だけど、普段は海に出ていたり、島外にいる可能性がある。遠くにいる人が危険を冒してまで島に戻ってくるのか」と不安をのぞかせた。

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