「おねがい、ゆるしてください」。痛々しい幼い文字をノートに残し昨年6月、虐待で亡くなった東京・目黒の女の子の名前は「結愛ちゃん」だった。生まれてわずか5年。“愛を結ぶ”こともなく親の手で命を奪われた◆あの時、児童虐待の痛ましさに涙したが、千葉県野田市で、またしても「しつけだ」とうそぶく父親の虐待で10歳の女の子が死んでしまった。名前は「心愛ちゃん」。名前は親の思いそのままだと信じたいが、心も愛もない人間の仕業、何ということだ◆「子どもは親の所有物」と言わんばかりに虐待を繰り返す親たちがいる。わが子がうとましいと殴る、蹴る。言うことをきかないと熱湯をかけたり、冷水を浴びせたり。一番身近な親からの暴力ほど残酷なものはない。助けを求めることの出来ない家庭という密室で襲い来る恐怖と絶望。例えようのない悲しみと孤独◆父親からの暴力に耐えかねた心愛ちゃんは学校のアンケートで「お父さんからいじめを受けている」と回答。「お父さんが怖い」「お母さんがいない時にたたかれる」と助けを求めていたが、悲痛なSOSは届かなかった◆増え続ける児童虐待。児童相談所の“断罪”ばかりでは何も解決はしない。声を殺して泣きながら助けを待っている悲しみの子どもたちを救う社会システムを本気で考えなくては…。(賢)

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