「東の浜にコクジラが打ち上げられているそうです」。先週日曜日、唐津の海を見守る知人から連絡があった。記者が別件の取材後、現地に向かったが、「姿は見当たりません」。沖に戻されたのか、携帯電話の会話に海風の音が交じる。

 クジラ。その語感は郷愁を伴う。竜田揚げは給食の定番メニューだったし、父親の晩酌の肴は冷凍クジラだった。昭和でいうと30年代生まれまでか。時代の“アイコン”とも言えよう。

 そんな世代だから、捕鯨が国際問題になると悩ましい。昨年12月には日本政府が国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を表明した。それぞれの国や地域に独自の食文化があり、クジラを特別扱いする反捕鯨国の考えには違和感を覚える。

 とはいえクジラの消費量が減る一方、マグロなどの資源管理で国際協調が求められる今、国際機関を抜けてまで商業捕鯨を再開する必要があるのかと思う。

 賛成か反対か、二択は難しい。ただクジラの食文化は大切にしていきたい。

 先日の新年会。クジラの刺身が供された。「百尋(ひゃくひろ)」「豆ワタ」「畝(うね)」。同年配の人たちと部位を確かめながら味わう宴は、同窓会のような懐かしさがあった。

(唐津支社長・吉木正彦)

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