人によって見える景色はそれぞれ違う。その人の人生が色濃く投影されるからだ。最近、二つの「景色」という言葉が印象的な響きを持ってお茶の間に届けられた◆一つは、おととい活動休止を発表した人気グループ「嵐」のリーダー大野智さん(38)の言葉。「この世界を一度離れて、今まで見たこともない景色を見てみたかった」。長く芸能界にいて、自らのありようを問い続けた結果の決断だったろう◆大野さんが自身の芸能活動を休止するころは40歳となる。「不惑」の年への思いが募ったのかもしれない。現在のいすに座っていると、安心感はあるが、その安心感が自分の可能性を摘み取ってしまっているのではと不安になる時がある。大野さんもそんな一人だったろうか◆もう一つの「景色」は横綱を引退した稀勢の里。先代師匠から「横綱になったら見える景色が違う」と説かれていたが、引退会見でそのことを問われると、「まだまだ先代が見ていた景色は見られなかった」と答えた。それでも「自分自身を変えてくれた」と横綱になったことで得た自らを見つめていた◆〈自由は責任を意味する。だから、たいていの人間は自由を恐れる〉。バーナード・ショーの言葉。大野さんは「自由な生活がしてみたい」と自ら決断し責任を持つことで、まだ見ぬ景色を探す道を選んだ。(丸)

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