昨年12月の武雄市長選で無投票当選を果たした小松政市長の2期目の任期が今月から始まっている。2022年度の九州新幹線長崎ルート暫定開業に向けた周到な準備が欠かせない4年間になる。

 博多-長崎間の長崎ルートは、武雄温泉駅で在来線特急と新幹線を乗り継ぐリレー方式(対面乗り換え方式)で暫定開業する。武雄にとって待望の開通で、市は観光面だけでなく定住や移住の促進など多面的に生かす考えだ。

 開業に伴い、長崎への主要鉄路は武雄温泉駅経由になる。新幹線に乗り継ぐ博多-武雄間の特急列車の本数は、現行の1時間1本程度から2~3倍に増えるとみられている。長崎とを結ぶ新幹線は武雄温泉駅に停車し、特急の利便性は飛躍的に向上する。武雄は「西九州の玄関」になる。

 ただ、そうした状況は暫定開業の間の話だ。長崎ルート整備では、新鳥栖-武雄温泉間をフル規格にするかミニ新幹線にするかという大きな課題が残っているが、いずれの場合でも全線開業となれば、新幹線の停車駅は嬉野など周辺駅との競争になって全便停車でなくなり、特急列車の本数減も予想される。暫定開業の期間に、武雄をどこまでアピールできるのかが重要になる。

 そのために、武雄市が目指す「西九州のハブ都市」実現のための準備を進めて、開業時に全国に武雄を印象づけるようなスタートダッシュを図りたい。準備すべきことは大きく2点。駅周辺や駅と武雄温泉を結ぶ導線整備などのまちづくりと、長崎県を含めた周辺観光地との連携だ。

 駅南側では観光バスの駐車場などを広く設ける整備が本格化している。まちづくりでは、市役所跡地や線路高架下の利活用が焦点になる。参考になるのは、観光客からよく聞かれる「もう少し温泉街や周辺で散策できれば」「夜の町に飲食以外の楽しみが少ない」という指摘だ。

 市が目指すのは武雄に連泊して周辺観光地に出掛けてもらう観光拠点化だ。その狙いを支える意味でも散策できる町や夜の楽しみの提供は欠かせない。駅と温泉街を結ぶ場所にある市役所跡や線路高架下はそうした仕掛けができる場所でもある。うまく生かす方法を早急に探り、整備につなげたい。

 一方、周辺観光地との連携も急ぐ必要がある。観光パンフレットがそろっている程度ではなく、各地の宿泊やイベントなど旬の情報、滞在時間に合わせた観光プランや周遊の組み合わせを提供できるような体制や施設は不可欠だろう。そのためには武雄の「独り勝ち」ではなく、「ウィンウィン(相互利益)」になるような関係づくりが欠かせない。相手がメリットを感じる提案をもとに組織をつくり、西九州が一体となって全国から観光客を呼び込む体制を構築したい。時間はあまりない。

 観光面の施策と併せ、市は「長崎や福岡に通勤通学できる町」として定住や移住も促進する方針だ。交通利便性の高さや市の魅力をどんなターゲットにどんな形でアピールするのか。具体策が必要になる。

 新幹線開業をにらんだ施策は、来年度の当初予算に盛り込まれるだろう。広く市民に周知し、意識を共有する作業も欠かせない。(小野靖久)

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