使用済み核燃料は政府が言うように「資源」になり得るのか。厄介な「ごみ」として延々と留め置かれるのではないか-。そんな核燃料サイクルへの不信感と、待ったなしの現実的な対応のはざまで佐賀県が揺れている。

 九州電力は22日、逼迫している玄海原発(東松浦郡玄海町)の使用済み核燃料の保管量を増やすため、金属容器に入れて空冷する乾式貯蔵施設の敷地内への新設と、貯蔵プール内の燃料の間隔を狭めて保管スペースを増やすリラッキングを原子力規制委員会に申請した。県と玄海町には安全協定に基づき、事前了解願を提出した。

 玄海原発は2018年3月に3号機が、6月に4号機が再稼働した。原発は13カ月稼働すると定期検査に入り、その際に1基当たり70体の使用済み核燃料が発生する。しかし、貯蔵プールに余裕がなく、現状のままでは5~7年で限界を迎える。今回、貯蔵容量を増やす二つの対策を講じることで、九電は10年分以上の一時保管が可能になると試算する。

 問題は、これが本当に一時保管で済む話なのかという点だ。政府は全国の原発で使い終わった核燃料を青森県六ケ所村の再処理工場に運び、プルトニウムを取り出してウランと混ぜ合わせた混合酸化物(MOX)燃料として再び原発で使うプルサーマルを進める。しかし、再処理工場は相次ぐトラブル続きで24回も完成延期を重ね、当初1997年としていた完成目標は2021年上期に変更。ただ、関係者からは「事業者の日本原燃も規制委も内心では21年に間に合わないことは分かっている」との声が聞こえる。再処理が始まらないため、六ケ所村の受け入れ用プールは既にぎりぎりの貯蔵率98・9%。玄海原発からの搬出も15年8月を最後に途絶えている。

 電力業界は16~18基でのプルサーマル発電を目指すが、現在動いているのは玄海3号機など4基のみ。プルトニウムの消費が計画通り進まず、国内外での保有量は核兵器6千発に相当する約47トン。国際社会から厳しい目が向けられている。再処理工場が動かなければ全国の原発の使用済み核燃料は行き場を失うが、動いたとしても新たに年間8トンのプルトニウムが生まれる。袋小路に陥っていると言わざるをえない。

 使用済み核燃料を全て再利用する「全量再処理」の方針を掲げる政府の核燃サイクルは、その要となるプルトニウムを効率よく燃やすことができる高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)の廃炉決定により、明らかに頓挫している。

 今回、九電が規制委に申請した乾式貯蔵は、プールのように電気や水を必要としない。東京電力福島第1原発事故でプールは冷却機能を失って深刻な事態を招いたが、乾式貯蔵は津波に襲われても無事だった。しかし、併せて申請したリラッキングはプールに燃料を詰め込む。これまで原子力規制委員長が「望ましくない」と難色を示してきた方式で、サイト全体としてみれば、安全性が高まるとは言えないだろう。

 実現が困難な核燃サイクルという国策に協力を強いられる佐賀県。政治と電力業界が取り組むべきなのはその場しのぎの対策ではない。本格的に核のごみの扱いに窮する前に、本腰を入れて原子力政策を見直すことだ。(栗林賢)

このエントリーをはてなブックマークに追加