米寿記念の書作展を開いている米倉基峰さん=佐賀市本庄町の高伝寺前村岡屋ギャラリー

米倉基峰さん「寿觴(じゅしょう)」

米倉基峰さん「心随万境転」

米倉基峰さん「天衣無縫」

 「常に今いる場所が出発点。誰がなんと言っても書を続けたい」-。そう意気込む書家の米倉基峰(きほう)さん(86)が、米寿を記念する書作展を開いている。50年以上前に書いた先鋭的な旧作から今年制作した穏やかな新作まで、書家人生を見渡す作品を並べた。

 所属する「はがくれ書会」などでのグループ展はあったが、個展は高校教諭退職記念に開いた1993年以来26年ぶり。新旧交えた掛け軸や色紙など30点を展示した。

 米倉さんが「脂が乗り切った時代の記念すべき一点」と話す「天衣無縫」は、30歳ごろに書いた作品。前衛書道を学んでいた頃の書で、一気呵成(いっきかせい)に振るった筆のいきおいが閉じ込められた大作。山馬(さんば)筆を用いた荒々しく太い描線から、あふれんばかりの若さがほとばしる。

 2013年の作品「心随万境転(しんずいばんきょうてん)」は富士山登頂を記念して書いた禅語で「人間の心は環境で様々に変化する」という意。苦心して出合った頂上からの絶景に、新たなスタート地点を見いだした心境を爽やかに写し取った。

 約半世紀にわたる書作が並ぶ展観に、米倉さんは「若い時は厳しさや鋭さがあり、近年はゆったりと丸みを帯びた作風になっている」と話し、「人のおかげで今がある。感謝を伝える記念展になれば」と笑顔を見せる。書作展に合わせて、75年の足跡を集めた作品集も用意した。

 三養基郡上峰町出身であることから、佐賀大学在学中に雅号を「基峰」とした。県立高校や九州龍谷短大などで指導者として活躍し、現在も後進の育成に尽力している。10年に地域文化功労者文部科学大臣表彰受賞。県書道展、県書作家協会、県書道教育連盟顧問を務めている。

 ▼佐賀市本庄町の高伝寺前村岡屋ギャラリーで27日まで。作品集は1000円(税込み)。問い合わせは同ギャラリー、電話0952(24)5556。

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