杵藤版・工房を訪ねて

 有明海を一望する太良町の大浦中近くに中園巌さん(70)の能面工房があります。中園さんは29歳の時に太良町に帰郷し、独学で能面づくりを始めました。能面師の大島安治氏(故人)や田中博氏に師事し、漁師などの傍ら能面の制作に取り組んできました。

 2008年の全国能面展(福井県池田町)で審査員特別賞を受賞。15年の同展で秀作(入賞)に選ばれた「曲見(しゃくみ)」が名古屋能楽堂特別公演の「冨士太鼓」(宝生流)のシテで使用されるなど、能面作家として実績を積んでいます。

 能面の材は6年くらい置いた木曽ヒノキを使用。制作は流派に応じて型紙起こしから始め、数カ月をかけて形を作っていきます。その後顔料で色をつけ、表情豊かに仕上げます。

 中園さんは「能面は左右非対称なのですよ。肌もきれいすぎると表情が出ません」と話します。能楽で使われる能面をこれからも作りたいと制作に励んでいます。中園さんが手に持っている作品は「小面(こおもて)」で、額に掛けてある面は「慈童(じどう)」(18年全国能面展秀作)です。太良町のふるさと納税の返礼品にも採用されています。電話は0954(68)2147。

このエントリーをはてなブックマークに追加