「漫然と従来の手法を踏襲」。自分の仕事について、こんな評価を突きつけられることほど恥ずかしいことはない◆厚労省の「毎月勤労統計」不正調査問題。外部委員で構成する特別監察委員会は担当職員らの仕事ぶりをそう断じた。この者たちは日々の仕事について深く考えることもなく、目的に心をとめることもなく、たやすく、しまりなく◆「毎月勤労統計」は全国の事業所の給与や労働時間などを調べる政府の基幹統計の一つ。ルールでは従業員500人以上の事業所は全数調査となっており、その結果はGDP(国内総生産)の算出や失業手当の支給額算定などに用いられている◆それが長年にわたって不適切に行われていた。国の政策立案の基礎となる統計をここまで軽視していたとは。事は重大である。「国民の信頼を裏切り、誠に…」と深々と頭を下げ、人事処分で幕引き-という情けない光景が何度繰り返されればいいのか◆「公僕になりたくてなっている人おそらくはいず如月の街」。車いす生活を送りながら文学にいそしんだ嬉野市の故中島虎彦さんが以前、官僚たちの不祥事について詠んだ一首。中島さんの社会を見る目の確かさ。この短歌は志を失った役人への怒りより嘲笑である。よもやここまで墜(お)ちるとは。いや、もともと志などないから平気でいられるのだ-。(賢)

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