横尾俊彦多久市長(左)らに南三陸町の復興状況を説明し、職員派遣の感謝を伝える佐藤仁町長(左から2人目)=多久市役所

 東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県南三陸町の佐藤仁じん町長が21日、災害復旧のため2012年から同町に職員を派遣している多久市を訪れ、横尾俊彦市長らと懇談した。佐藤町長は復興の経過や現状を報告し、「人的支援のおかげで公共施設の復旧は最終コーナーまで来た。町に関心を寄せ続けてくれた多久市の皆さんに感謝している」とお礼を述べた。

 南三陸町は震災で住宅の約6割に相当する3143戸が全壊した。大津波などによる町内の死者は、避難生活に伴う健康悪化などが原因の「震災関連死」を含め620人を数え、18年末時点で211人が行方不明になっている。

 住まいの再建に向けて高台への住宅造成を進めているが、震災前(11年2月末)に1万7666人だった町人口は1万2987人(18年末)に減少。避難の長期化で故郷を離れる人も多く、減少率は27%に上る。佐藤町長は「帰還者が今後、大きく増えるとは考えにくい」と厳しい見通しを示し、地域コミュニティーの形成や再生にさらに力を入れていく考えを示した。

 震災の教訓については、想定を大きく上回る津波で町役場も壊滅的被害を受けた当時の状況を振り返り、「行政機関が全ての住民に対応できるとは限らない」と自助、共助の態勢づくりの重要性を強調した。

 多久市は南三陸町職員との交流をきっかけに、12年10月から半年や1年交代で建設や水道、福祉課の職員11人を派遣している。15年10月には、災害復旧に関する相互支援協定を同町と締結、職員の派遣や食料の提供、被災者の受け入れなどで協力体制を整えている。

 

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