愛媛県松山市の道後温泉。佐賀から松山まで往復1千キロ。昨年3月、2日間かけて車で訪ねた。途中、瀬戸内のしまなみ海道を通った。あの刑務所脱走事件があったのは、訪ねて10日ほど後のことである◆道後温泉の本館は「坊ちゃん湯」の愛称で知られる。風呂に入ると「坊ちゃん泳ぐべからず」と書いた木札があった。映画「千と千尋の神隠し」に登場する湯屋のデザインの参考になったとされ、外観や造りがよく似ていた。外国人も日本人も必ず建物の前で記念写真を撮っている◆その本館が、7年に及ぶ大規模改修に入るそうだ。ニュースを見ていて、同じ国の重要文化財である武雄温泉新館や楼門も負けていないと感じた。辰野金吾設計の建物が並ぶ一角は「温泉地に来た」という気分でいっぱいになる◆楼門そばの元湯には「ぬる湯」と「あつ湯」がある。年末に訪ねた時の「あつ湯」は45・0度。恐る恐る足を入れ、胸までつかると、なんと気持ちのいいことよ。湯上がりにコーヒー牛乳を飲んだ◆全国区の知名度を誇る道後温泉。武雄温泉もそうありたい。同じ辰野設計の東京駅も見上げたことがあるが、ここの干支(えと)と楼門の干支を合わせると十二支がそろうという話題もいい。温泉よし、風景よし、物語よし。あとは食べ歩き、土産物を見て歩くそぞろ歩きの楽しみがほしい。(丸)

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