〈一粒は空を飛ぶ鳥のために 一粒は地の中の虫のために 残りの一粒は人間のために〉。生態系の共生を唱える農業のことわざ「三粒の種」。目の前の利益にとらわれることへの戒めでもある◆何事もほどほどにということだろう。2月の節分に食べる恵方巻きが過剰生産によって売れ残り、大量廃棄されていることが問題になっている。このため農水省がコンビニやスーパーに需要に見合った販売をするよう要請したそうだ◆大量廃棄は恵方巻きに限った話ではない。まだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」は日本で年間646万トン。なんと毎日10トントラック1770台分にもなるという。食料自給率が40%を切る日本で、こんなにも食べ物を粗末にしているとは◆以前はなかった恵方巻きが、いつのまにか増えた。販売のための仕掛けは分かるが、大量に作って従業員にも販売ノルマを課し、それでも余って廃棄にいたるのだろうか。追い立てられるように縁起物に夢中になってきたものの、廃棄の現実を聞かされ、ふとわれに返った消費者もいるかもしれない◆今年の恵方は「東北東やや東」とか。えーっと、どの方向? 佐賀県産ノリがどれくらい使われているかは分からないが、漁業者が懸命に作ったものがそのまま捨てられるのなら罪深い。これでは縁起担ぎにもなるまい。(丸)

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