法務省は先月下旬、初めて「再犯防止推進白書」をまとめ、2018年版犯罪白書とともに公表した。政府は再犯防止を犯罪対策の大きな柱に据え、16年12月に必要な施策の実施を国と自治体の責務とする再犯防止推進法を施行。刑務所を出所して2年以内に再び罪を犯して入所する再入率を21年までに16%以下にする目標を掲げている。

 17年12月には出所者への就労や住宅確保の支援など115の施策を盛り込んだ推進計画を閣議決定。20年東京五輪・パラリンピックに向け犯罪対策閣僚会議で13年に策定された「世界一安全な日本」創造戦略でもテロ対策などと並んで、再犯防止対策が取り組むべき施策に挙げられている。

 ただ二つの白書からは、65歳以上の高齢者による再犯が年を追うごとに深刻さを増していることがうかがえる。出所しても仕事はなく、頼れる家族もいないことから窃盗などを繰り返し何度も刑務所に戻ってしまう。これが、刑法犯の認知件数と検挙者数が毎年、戦後最少を更新し続けている中で再犯者率を押し上げ、国を挙げての取り組みに影を落としている。

 出所後の立ち直りを支えるには仕事の確保などが欠かせないが、現実は厳しい。高齢者となると、ハードルはもっと高くなる。認知症などの問題もある。再犯防止で高齢者に特化し、生きづらさを除いていくための対策拡充が求められよう。

 犯罪白書によると、17年の刑法犯認知件数は91万5042件、検挙者数は21万5003人で、ともに戦後最少。それぞれ15年連続、5年連続で減少している。一方、再犯者率は前年と同じ48・7%で過去最悪の水準だった。検挙者数のうち高齢者は21・5%で、全年齢層の中で最も多い。70歳以上は14・7%と1998年の7倍になった。

 高齢受刑者は2278人で前年より8・8%減ったものの、それでも98年の約3・3倍。特に70歳以上の女性の増加が顕著で、234人と98年の約12・3倍に増えた。64歳以下と比べ、再入所の割合が高く、男性は6回以上が42・5%、2~5回は32・3%で、女性は6回以上11・5%、2~5回42・6%だった。

 2013年の出所者について見ると、5年以内に再入所した割合は高齢者39・5%、64歳以下38・0%で大差はなかったが、政府が削減目標を設定している2年以内の再入率では、高齢者が24・9%と64歳以下の17・3%を大きく上回った。

 再犯防止に向け、国は出所者を雇用する「協力雇用主」の確保に力を入れ、再犯白書は14年の1万2603社から昨年は2万704社に増えたとしているが、雇用された出所者数は200人程度伸びたにすぎない。また昨年の内閣府による世論調査では、出所者の立ち直りへの協力について「したいと思う」と「どちらかといえば、したいと思う」との回答は計53・5%で、13年調査時の計59・1%を下回った。

 出所者、中でも高齢者を取り巻く環境は厳しい。社会で孤立させないために何ができるか。就労拡大を図るのはもちろん、高齢者を積極的に受け入れる更生保護施設の数的、質的な充実が急務となる。さらに起訴猶予処分や警察による微罪処分になった場合、釈放後に支援や働き掛けが途切れてしまう。地域社会で見守っていく仕組みを整える必要もあるだろう。(共同通信・堤秀司)

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