直木賞を受賞し、友人から祝福を受ける原尞さん=平成2年1月16日、鳥栖市

 鳥栖市在住の作家原尞(りょう)さん=当時(43)=が長編2作目の『私が殺した少女』(早川書房刊)で第102回直木賞を受賞した。県内在住者としては初の快挙で、原さんは「ほっとした」と笑みを浮かべた。

 鳥栖市出身の原さんは九州大学文学部美学美術史科を卒業後、東京でフリージャズのピアニストとして活躍。1985(昭和60)年に帰郷し、88(同63)年に長編『そして夜は甦(よみがえ)る』でデビューした。同作は第2回山本周五郎賞の最終候補にも残り、本格ハードボイルド作家として出版界に鮮烈な印象を与えた。

 直木賞受賞後は、95(平成7)年に『さらば長き眠り』、2004(同16)年に『愚か者死すべし』と、じっくり時間をかけて続編を発表。昨年3月には14年ぶりとなる新作『それまでの明日』を出版した。原さん自ら「今までで一番面白い小説」と太鼓判を押す意欲作で、ハードボイルドファンを湧かせている。

 第1作から5作まで一環して主人公を務めるのは、あか抜けたせりふ回しが印象深い私立探偵沢崎。映画化のオファーを断り続けているという原さんは「沢崎は読者の心の中にあればいい」と話す。(新元号まであと105日)

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