地電気自記器復元模型(国立科学博物館監修、多久市郷土資料館蔵)

 1884年、多久市東多久町出身で、日本初の電気工学者志田林三郎(1855~1892)はある画期的な器械を考案しました。「地電気自記器」と呼ばれていたその器械は、地電流を計測し、目に見えない電流の流れ方を記録する機械式オシログラフの一種といえるものです。

 当時すでに電信が世界中に普及し、地球規模の通信網が形成されていましたが、しばしば通信の信号電流とは異なる電流が流れ、時には電信機から火花が出るほどの障害が発生しました。このような、自然界の電流(地電流)が、地磁気、オーロラや太陽の活動と密接に関係があることも知られており、林三郎は、地電流の変動を観測することが電信技術の発達だけでなく、地震の予測など地球物理学の研究に役立つと考えたのです。そこで、この器械を考案し、長崎-釜山間などの電信線を利用し観測を行いました。この当時、電流波形のリアルタイムでの観測は難しく、日本の電気技術史上きわめて重要な発明です。

 多久市では、明治維新150年を記念し地電気自記器の復元模型を制作しました。本器は「電磁石」「毛細管現象」「電気分解」といった物理学の基礎的な原理を組み合わせて作られています。自然界の微弱な電気を検知し、それを基に地震など天変地異の予測に挑んだ林三郎の姿を、この復元模型は教えてくれました。

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