コーポレートブランド「DEXTECH」に込めた思いを語る佐賀鉄工所の坂田潤一社長=神奈川県藤沢市の本部

ブランドロゴ

 国内年間売り上げ480億円を誇る自動車用ボルトのトップメーカー「佐賀鉄工所」(本社・佐賀市)が今年から、コーポレートブランドとして「DEXTECH(デクステック)」を掲げる。当面、社名の佐賀鉄工所は残すが、ロゴマークを一新し、徐々に浸透を図る。創業80周年を機に、佐賀のアイデンティティーは残しつつ、スマートでグローバルな企業像を打ち出していく。

 同社は1938年に創業し、従業員はグループ全体で約2千人。国内外に8カ所の製造拠点を持ち、2018年3月期連結決算は売上高796億円と過去最高を記録した。取り扱うのは自動車用の高強度ボルト。業界でも珍しい全工程を自社で賄う「一貫生産方式」による高い技術力で、年間58億本をホンダや日産など主要メーカーに納品する。

 昨年11月に創業80周年を迎え、将来に向けて攻めの姿勢を打ち出す目的でコーポレートブランドを立ち上げた。「DEXTECH」は、同社が創業50周年を機に米・ミシガン州デクスターに設立した子会社の略称が由来。初めて海外進出し、飛躍的な拡大を成し遂げた転換点であり、ブランドイメージに合致した。

 顧客には「佐賀さん」、県内では「佐鉄さん」「佐賀鉄工さん」と呼ばれるという同社。坂田潤一社長は「急にデクステックに変えても周囲から戸惑われる。10年、20年と使いながら、社名をどうするか判断すればいい」と語る。

 従業員の約9割は佐賀出身か佐賀に関わりのある人で、「地元意識は強みであり、外に出て行きたがらない弱点でもある」と坂田社長。ブランド立ち上げに際し、半年かけて全従業員にアンケートをとった。社の現状は「堅実」。将来に向けては「スマートさ、アグレッシブさがほしい」という意見が多かった。

 ロゴマークは、洗練されたねじをイメージしたラインが、全体で「D」を形成する。技術の緻密さやスピード感を表現した。

 業界には電気自動車や自動運転など技術革新の波が押し寄せている。売り上げの約3割をガソリンエンジン周りのボルトが占める同社にとって影響は小さくない。鉄と鉄の締結だけではなく、アルミや樹脂に関しても研究を進める。「ボルトと一緒に締結の技術を売る。コスト削減や強度の面からさまざまな提案をしていく」。坂田社長は「顧客にとって価値ある技術を提供し続ける。コーポレートブランドを前向きな変化を促すきっかけにしたい」と力を込める。

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