インタビューに答えるJR九州の青柳俊彦社長=福岡市のJR九州本社

 JR九州は昨年3月に過去最大の減便に踏み切り、佐賀県内では学校が始業時間を変更するなど影響が出た。人口減少に伴い、今後も鉄道事業の合理化を進めていくのか。整備方式の見直し論議がこれから本格化する九州新幹線長崎ルートへの考え方などを含めて、青柳俊彦社長に聞いた。

 -昨年3月に過去最多となる117本を減便した。今後も経営合理化に取り組んでいくのか。

 「鉄道も道路や空港などと同じ交通インフラだから、赤字で当たり前」という識者はいるが、それでは事業として長続きしない。合理化するのは事業者として当たり前のこと。世界でも珍しい新幹線、特急、在来線を持つ特長を生かし、合理的なダイヤ、運賃サービスに取り組んでいく。ただ、欧州の鉄道のように(路線を自治体が保有し鉄道会社が運行する)上下分離ならば別の話。それならば取り組んでいけるだろう。

 -1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)が4千人未満なら、バスへの代替や第3セクターへの転換が適当とする国鉄時代の基準がある。

 国鉄時代の基準だが、今も一つの目安になると思う。この30年間、列車を維持して頑張ってきたが、利用数が大幅に減った区間がある。2016年度から輸送密度を公表したのも、実情を知ってほしかったからだ。自治体や住民の皆さんが自分のこととして、鉄道のコスト、公共交通の維持について考えてほしい。

 -こうした区間の公共交通をどう考えているのか。自治体や住民との議論をいつごろ始めるのか。

 ここ5、6年のうちではなく、もっと早く始めたい。19年に着手するかどうかは言えないが、早ければ早いほどいい。鉄道の需要やリソース(経営資源)が限られる中でどんなサービスができるか、一緒に知恵を出してほしい。上下分離やバス代替などやり方はいろいろあるが、どれを選ぶかは鉄道事業者ではなく地域が判断することだと思う。

 -米国に拠点を置く投資ファンドがJR九州株を5・10%保有して大株主になった。赤字路線に対しては、どのような考えを持っているのか。

 彼らは赤字を問題とするのではなく、それが膨らんでいくことに否定的だ。鉄道事業の収支が改善していることに好意的で、「赤字鉄道を廃止しろ」と言われたことはない。人口減少が進む中、鉄道事業が成長産業ではないことは理解されている。

 -九州新幹線長崎ルートの建設費が上振れしている。国が求める貸付料の追加負担についての見解は。

 貸付料は、新幹線整備による受益を勘案して算出する。建設費の上下で変わるものではない。県知事選で再選された山口祥義知事には広い視野を持っていただき、全線フル規格化を前向きに検討してほしい。

 -JR九州は、長崎や熊本駅周辺などの再開発を進めている。佐賀駅についてはどうか。

 自分たちの土地がないので、主体的に開発する立場にない。全体的な計画が見えておらず、私たちが活躍すべき場所が見つかっていない。ただ、新幹線駅ができれば、大きく都市計画が進んだ事例がこれまでにある。フル規格の新幹線が佐賀駅に来るとすれば、われわれが提案できることもあるだろう。大きな計画と変化がチャンスとなる。

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