マリア・ギボンさんの次女で女酋長のグロリア・サリーさん(左)と竹下さん=パラオのコロール市(提供写真)

作家中島敦の小説「マリヤン」のモデルになったマリア・ギボンさん(提供写真)

 パラオやスリランカとの国際交流を進めるNPO愛未来(竹下敦子理事長、佐賀市)が、70年以上前にパラオに住んでいた佐賀出身者が持ち帰った写真に写る人々を、現地パラオで探し当てた。3人の身元が判明し、その中には作家中島敦の小説「マリヤン」のモデルになったマリア・ギボンさんも含まれている。竹下さんらは3人の遺族に写真を手渡した。

 写真はみやき町出身の高橋(旧姓・諸永)シゲ子さん(1912~2004年)の息子正則さん(69)=京都府=が所有していたもの。パラオに移住していたシゲ子さんが戦況悪化で1944年に日本に引き揚げた際に、パラオで撮られた写真約70枚を持ち帰った。いずれも豊かな自然に囲まれたパラオでの生活が写し出され、「写真に写る現地の人に写真を渡したい」と正則さんが竹下さんに依頼していた。

 竹下さんがパラオのベラウ国立博物館で聞き込み調査を行うなどして写真に写る人々を探したところ、3人の身元が判明。写真を届けると、遺族たちは驚きつつ、笑顔で受け取ったという。

 「マリヤン」は中島が南洋庁編修書記としてパラオに赴任した時の実体験を基に書かれた作品。役所の同僚と打ち解けることができない主人公の「私」が、友人の部屋で出会ったマリヤンのことを、帰国後に回想する形で描かれている。

 NPOは5日から正則さんとパラオを訪問しており、同博物館に写真を寄贈する。写真は日本占領時の資料として、日本による学校教育がわかる教科書や通信簿などとともに展示されるという。竹下さんは「こんなに早く見つかるとは思っていなかった」と驚きを語り、「いつか佐賀でも写真展を開き、佐賀とパラオのつながりを感じてもらいたい」と話す。

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