「洋服が好きで接客も楽しい」と話すサロンモード創業者の東島道子さん

サロンモード創業当時の写真、70年前、3坪の店舗から始まった(提供写真)

1950年代後半に店舗を拡張した。「モード」という屋号は当時珍しかった(提供写真)

 鹿島市の中心商店街にある老舗レディース服店「サロンモード」。70年前の創業者は今もなお現役で店に立っている。背筋の伸びた姿勢で客を迎えるのは東島道子さん(96)。戦後間もない時代に小さな洋品店を構え、地域の女性たちに「おしゃれ」の楽しさを発信し続けてきた。

 東島さんは鹿島高等女学校を卒業後、福岡で洋裁技術を習得。スーツやワンピースなどの仕立てを請け負う事業を始めた。今では県内に18店舗を展開するまでに成長した「モードファッショングループ」は1949(昭和24)年、3坪しかない小さな店舗から始まった。

 創業前から自らの手仕事で商売を行っていた東島さん。太平洋戦争に突入していく受難の時代を生き抜くため、知恵を絞るしかなかったという。最初に扱った「ランプの灯芯」に同社の起源がみられる。

 当時はランプが重宝されていたものの、商品の評判が悪く、「純綿を使っていない芯はよく燃えなかった。商人たちは外側だけ整え、質が悪かった」と東島さん。古い肌着などの綿生地を再利用し、灯芯をつくって売り込むと、業者に喜ばれて多くの買い手がついた。長く着られるように質のいい服を提案する企業精神につながるエピソードとして語り継がれている。

 「モード」というカタカナの屋号も当時は珍しかった。資金繰りに苦しみながらも、実家の日本料理店の座敷広間でファッションショーを開くなど、地域に新しい風を吹きこみ、愛される銘店を築き上げてきた。

 同社は、代替わりを経て店舗網を拡大、幅広い顧客層に対応してきた。店舗内にティースペースを設けるなど、単なるモノの売買にとどまらずに地域の人が憩えるような工夫を施す。「お客さまに誠心誠意が何より大切」と、東島さんもここでなじみの客と会話を楽しむ。

 今年は70周年イヤーとして、東島さんの孫にあたる山口賢人専務(31)を中心に、ランプにちなんだキャンドルなど記念グッズ販売の企画を進めている。山口さんは「感謝を伝えるとともに、ワクワクを届けるファッションの原点に返って、今後も地域社会におしゃれを提案できれば」と語る。暮らしを豊かに彩る創業者の志が受け継がれていく。

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