2019年は、消費税増税、世界経済の先行き不透明感など内外に懸念材料が多く、日本経済にとって多難な年になりそうだ。これらのリスクに適切に対応できなければ、景気が失速する可能性も否定できない。万全の備えが必要だ。

 18年の日本経済は浮き沈みが激しかった。1~3月期の実質国内総生産(GDP)は9四半期ぶりにマイナス成長に転じ、4~6月期はプラスに回復したものの、7~9月期は自然災害の影響で再び大幅なマイナスに陥った。10~12月期は反動でプラス成長が見込まれるが、景気の足腰は弱く、停滞感が強い。

 ことし最も心配されるのは、10月に予定されている消費税率10%への引き上げの影響だ。14年の8%への引き上げは個人消費を急激に冷やし、景気を悪化させた。その再現は何としても避けなければならない。政府、日銀には細心の政策運営を期待したい。

 海外経済も一段と不確実性を増しており、警戒が欠かせない。

 米国は大型減税効果の一巡などで景気が減速するとの見方が多い。連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ路線とトランプ政権の混乱は、市場心理を悪化させ、株価の大幅下落を招いた。米金利の上昇は新興国の通貨下落と資金流出にもつながる。FRBには慎重な判断を求めたい。

 米中の貿易摩擦は3月1日まで休戦中だが、両国の協議が不調に終わって摩擦が再燃すれば、貿易の停滞を通じて世界経済に悪影響を及ぼし、ただでさえ成長が鈍化している中国経済にとっては追い打ちとなる。日本政府は米中両国の関係改善を後押しするよう努めてほしい。

 欧州では、英国が3月末に欧州連合(EU)からの「無協定の離脱」に追い込まれるシナリオが現実味を帯びており、その場合は世界の金融市場が大きく動揺するだろう。イタリアの財政悪化の懸念、フランスの政情不安も、欧州経済に影を落としている。

 政府は消費税増税の影響を軽減するための対策費2兆円を19年度予算案に盛り込み、家計の痛みを和らげるポイント制度の導入などを決めた。しかし、これらの対策が、実際に増税の影響を打ち消すだけの力があるかは見通せない。

 仮に消費税増税対策が十分に効果を上げたとしても、山積する海外リスクのいずれかが顕在化して世界経済が大きく減速すれば、日本経済は輸出の減少で打撃を受ける。国内外の下押し圧力により景気が腰折れする確率は、低くないと考えるべきだ。

 政府、日銀はそうした事態を想定して迅速な対応ができる態勢を整えておかなければならない。ただし、日銀には追加的な金融政策を発動する余地が乏しい。事あるときは、政府の手腕が試されることになるだろう。

 企業業績は好調が続いており、経営側には最大限の賃上げ努力と積極的な設備投資を望みたい。特に十分な賃上げで、個人消費の拡大と物価上昇という経済の好循環をつくりたい。

 過去2回の消費税率引き上げは景気に深刻な打撃を与え、その影響は長期化した。今回は消費税増税に海外経済の不安が重なる。政策を誤れば、日本経済は再びデフレ不況の泥沼に沈む恐れがある。ことしは大きな岐路の年かもしれない。(共同通信・柳沼勇弥)

このエントリーをはてなブックマークに追加