「元気」は、古くは「減気」と書いたそうだ。語源由来辞典などによると、“減気(気を減らす)”とは病気の勢いが衰え、快方に向かうことを表す言葉として使われた◆平安後期の説話集『今昔物語』に「日来ヲ経テ此ノ病少シ減気アリ」とあるように、その意味がうなずける。それが江戸時代になると、病気が治る意味として「験気」という言葉に変わっている。井原西鶴が庶民生活の心得を書いた浮世草子『日本永代蔵』に「四百四病は、世に名医ありて、験気をえたる事」とある◆それから時を経て式亭三馬『浮世風呂』もそうだが、貝原益軒の『養生訓』には、今の用法に近い意味で「元気」が使われている。益軒は「常に元気を惜しみてへらさず」「静にしては元気をたもち」「動いては元気をめぐらす」と説いている◆つまり、「元気」こそ人身の根本で、日ごろから「元気」をいとしみ、欲望にとらわれず、体を動かせば元気も巡ってくるという。食べたいだけ食べ、寝たいだけ寝るような“欲と怠惰”な日常は戒めなければ◆正月三が日が過ぎた。まだおとそ気分から抜けきれないでいる人がいるかもしれないが、早く日常を取り戻そう。身体だけでなく精神の養生も説いた貝原益軒が教えたように「つとめて身をうごかし、気をめぐらす」。これが日常の基本のようである。(賢)

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