2019年は「平成」が幕を閉じ、新時代を迎える年になる。世界各地で国民の分断が進み、国際社会が新秩序を模索する今、日本がどのような役割を果たしていくべきか。さまざまな立場の声をくみ取り、将来につなげていく謙虚な姿勢が求められる年になろう。

 世界は混沌(こんとん)とした時代にある。グローバリズムへの反動が潮流になりつつあるからだ。米国ではトランプ政権による「自国第一主義」が鮮明になり、国際協調にあつれきを生み出している。保護貿易と自由貿易の対立、米中貿易戦争は大きな懸念材料であり、世界経済に深刻な影を落としている。

 欧州では、欧州連合(EU)からの英国離脱に代表されるような「自国主義」が表面化して以降、多くの難民流入を契機とした排斥主義が台頭した。いまや欧州は、長く培ってきた「寛容」や「人道」の精神をどこかに置き忘れてしまったかのようだ。先鋭的な極右勢力が伸長し、ナショナリズムの広がりを懸念する声は根強い。

 今年はちょうどベルサイユ条約締結から100年にあたる。第1次大戦が終わり、平和と国際協調主義が世界で唱えられたが、敗戦国への過酷な条件や、世界恐慌を機にした排他的な経済の広がりが、わずか20年後の第2次大戦への命脈ともなった。

 なぜ過去の教訓を生かせず、再び戦争への道を歩んでしまったのか。今年はその検証が進められることにもなろう。世界でポピュリズム(大衆迎合政治)が顕著になり、右傾化が進む今こそ考えるべき重要なテーマである。

 新時代を迎える日本はどうだろう。史上最長政権の権利を手にした安倍晋三首相には、参院選、消費税引き上げが控えている。悲願の憲法改正と米国との安全保障政策が舵(かじ)取りの中心となる。

 2019年の当初予算案に目を移すと、防衛費は過去最大を更新、護衛艦の「空母」化も事実上認めた。隣国との外交的協調を目指すどころか、軍事的に誤ったメッセージを与えないか懸念は残る。

 国防は佐賀県と密接な関係にある。昨年は自衛隊のヘリが墜落するという惨事が発生、衝撃を与えた。しかし、県民には国防ゆえの機密性によって、詳細がなかなか明らかにされないもどかしさが残った。危険と隣り合わせの住民に対し、向き合う情報が与えられないとすれば、地元の理解を得るのは難しくなるのではないか。

 先月再選を決めた山口祥義知事は「国と地方は対等な関係だ」と強調する。国策に翻弄(ほんろう)される佐賀県にあって、これからも国に対し、地域への影響をしっかり伝えていく覚悟が必要だ。

 ことに自衛隊オスプレイの佐賀空港配備をめぐっては計画受諾を表明したが、米軍とのかかわりの中で、その先にどのような事態が想定されるのかも今後の大きな焦点となろう。九州の民間空港には米軍機が数多く着陸しているが、佐賀に陸自のオスプレイが配備されれば、将来的に米軍機もオスプレイの修理、補給拠点として利用するのではないかという不安はどうしても残る。

 日米の軍事的な結びつきは、もはや佐賀にとって無関係とはいえない。そうした意味で2019年は国際的な動向をこれまで以上に凝視していくことが求められる1年になりそうだ。

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