デマが広がり、ATMの前には預金者の行列ができた=平成15年12月24日、佐賀銀行本店

 事実無根の虚偽メールが発端となって、佐賀銀行で取り付け騒ぎが起きた。窓口やATM(現金自動預払機)に客が殺到し、約500億円が引き出される事態になった。翌日には沈静化したものの、デマが瞬時に広がる情報化社会の危うさを露呈する事案となった。

 県内のある女性が携帯電話のメールで「某友人からの情報によると、銀行がつぶれるそうです」と知人ら26人に送ったのがきっかけ。受信者が知人に転送したり、話したりしたことでデマが急速に広がった。

 伝達が繰り返される中、「建設会社が民事再生法を申請し、連鎖で銀行がつぶれる」「テレビで言っていた」などと内容が変わっていった。約1年前の佐賀商工共済協同組合の破綻などに伴う金融不安が背景にあり、当初は冷静だった人も長い行列を見てデマを信じてしまったという。

 メールの発信元になった女性は信用毀損(きそん)の疑いで書類送検されたが、佐賀地検は「犯意や取り付け騒ぎとの因果関係の認定は困難」として嫌疑不十分で不起訴処分にした。情報の正確さと価値を判断する能力を持つ大切さを教訓として残した。(新元号まであと127日)

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