今回は発疹と皮膚の点状出血をきたした26歳男子のお話です。
 以下、本人の訴えを記します。「朝、軽い喉の違和感があり、少しだるさを感じたが、仕事で疲れているのだろうと思った。洗面時に顔と首のあたりに発疹?と思ったが、それほど気にせずに出勤した。体温は測定しなかった。帰宅して、入浴時に直径2~3mmの薄くて赤いブツブツがからだや上下肢にも広がっていることに気づいた。首と後頭部を触ると腫大したリンパ節と思われる腫瘤(しゅりゅう)があることに気付いた。『ひょっとして風疹?』と考えた」。
 実は、 40数年前、医師になってまもなくの私です。これはわりあい典型的な風疹の経過です。これには少しおまけがあって,2~3日後に下肢やからだの点状出血に気付きました。血小板が減少する血小板減少性紫斑病です。合併症として時に見られ、長引くこともあるので心配をしましたが、幸いすぐに回復し事なきを得ました。
今年は関東を中心に風疹が流行しており、佐賀でも複数の感染者が出ています。はっきりと熱が出る人が約半数みられますが、発疹が出るまでほとんど気付かないことも多いようです。子どもでも大人でも症状と経過は上記のとおりです(※)。合併症がなければ普通はなんということなく治癒します。しかし、妊娠20週までの妊婦が感染すると、高い確率で先天性の重大な疾患を持つ赤ちゃんが出生します(主に目、心臓、耳の病気です)。
 風疹ワクチンの定期接種は1977年に中3女子を対象に始まり、94年には性別に関わらず1歳以上の幼児に1回接種へと変更、06年から麻疹・風疹(MR)ワクチンとして1歳時と就学前の2回接種へと改善されてきました。この間、種々の救済措置がとられてはいますが、現在30歳以上の男子、55歳以上の女子はワクチンを受けていない可能性があります。それと、1回のワクチン接種では感染を防御できるほどの抗体価が維持できていない可能性もあります。今回の流行もワクチン接種率の低い30~50歳の男子が多数を占めています。
 妊婦や将来の妊婦、これらの人々にうつす可能性があると思う方は、対応を専門家に相談することをおすすめします。男子はいつでもワクチン接種が可能ですが、生ワクチンなので女子は妊娠をしていない、しばらく妊娠の可能性がない方しかできません。

(※)風疹は発疹が出現する数日前から,発疹が消失するまで感染力があります。

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