横浜Mとのホーム最終戦で勝ち越しゴールを決め、仲間と喜び合うFWトーレス(左から2人目)=11月24日、鳥栖市のベストアメニティスタジアム

 サッカー選手なら誰もが夢見るワールドカップ(W杯)優勝。その経験があるトーレスの鳥栖加入はさまざまな面で好影響を与えた。改めてクラブの将来像を考えるきっかけにもなっている。

 残留に向けて前進した横浜Mとのホーム最終戦(11月24日)。「このゴールは鳥栖で決めたどの点よりも特別だ」。決勝点を奪ったトーレスの力強い言葉に1万9千人の観客が沸いた。仲間が容赦なくトーレスのもとに飛び込んでいく姿は、短期間でチームに溶け込んだことを実感させた。

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 どうすれば世界最高の舞台で活躍を続けられるのか。トーレスは全ての練習メニューに一生懸命に取り組み、全体練習終了後も残って筋トレを精力的にこなす。謙虚で一切妥協のない姿に、FW田川は「自分の中でおろそかになっていた部分を感じさせられた」。DF吉田も「吸収することがたくさんある」という。

 金明輝(キン・ミョンヒ)監督が終盤4試合でキャプテンマークをトーレスに託したのも信頼するがゆえだ。「すごくチームをリスペクトしてくれている」。仙台戦、横浜M戦で貴重な得点を挙げたが、守りの面でも存在感が際立った。

 勝利に対する執念は誰よりも強い。試合中、連係がかみ合わないときは手をたたいて味方を鼓舞。「とにかく1試合ずつ。結果が全てを決める」と周りの選手にプロ意識を再注入した。

 Jリーグは発足から四半世紀。鳥栖にトーレス、神戸にイニエスタが加入するなど今年はワールドクラスの選手が次々に来日した。来季からは外国籍選手枠が拡大。現行では原則3人まで出場可能だが、J1は5人に増える。

 鳥栖は54を数えるJクラブの中でホームタウンの人口が最も少ないが、リーグの動きに呼応して海外戦略を進めてきた。3年前、アトレチコ・マドリードとの国際親善試合を自前で企画したが、それがトーレス加入の後押しになったことは誰もが知るところだ。

 クラブは来季のチーム編成に向け、スペイン人のルイス・カレーラス氏(46)を新監督に内定した。10代から活躍するトーレスはアトレチコ時代、カレーラス氏とチームメートだった。

 「鳥栖は今後数年間で重要なクラブになる。そのために努力する」とトーレス。苦しみ抜いた今季がさらなる飛躍の分岐点になることを信じ、一丸で前に進み続ける。

 【メモ】 トーレスの鳥栖加入は相手チームにも好影響を与えた。イニエスタとの対決に注目が集まった神戸戦のチケットは神戸としてクラブ史上最速の1時間20分で完売。他のアウェー戦でも鳥栖のグッズ売り場は盛況で、「ありがトーレス」のタオルなどが人気だった。

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