自民、公明両党が推薦する現職と共産系新人の一騎打ちになった佐賀県知事選は、現職の山口祥義氏が19万9670票を獲得して再選された。投票率が35・26%に落ち込んだ選挙戦を担当記者が振り返った。

 A 予想していたよりも低い投票率で、4人が争って激戦だった前回からは20ポイント近く落ち込んだ。

 B 山口陣営は投票率アップが選挙戦の命題だった。無党派層を取り込もうと、会員制交流サイト「フェイスブック」などを駆使して情報発信したけれど、反応は分かりづらかった。

 C 街演車から「投票に行こう」と呼び掛けていて、まるで選挙管理委員会の啓発活動のようだった。陣営から「風がないのにたこを飛ばすようなもの」と嘆き節も漏れていたよ。

 A 他にも「こんなに緊張感のない選挙は初めて」という感想があったし、「相手にとって不足あり」との軽口も公然と出ていた。来年4月に統一地方選を控えている県議らは支持者に反感を買うような締め付けはできなかっただろう。

 B ある会社社長は「今回は自治体の忠誠心が問われている」と戦々恐々だった。山口陣営の夕方の決起大会には社員にも来てもらわなければならず、申し訳ないと漏らしていた。

 C 低投票率の予想の中で山口陣営は勝敗ラインを明示しなかったのに、選挙中に古川康衆院議員が「30万6千票を」と言ったのでざわついていたよ。「自分は知事の時に票を取っただろうけど、県議選と同日ではないので状況が異なる」と陣営に焦りが見えた。

 A 今回推薦した自民の内部には、決起大会で無所属の会の大串博志衆院議員が応援演説をすることを苦々しく思う人だって多かった。「自民党は利用された」と厳しい声も出ていた。

 B 山口氏は国策課題を取り上げる報道機関に恨み節ばかりだった。「会った人から国策の話は聞かないのに」と、よくぼやいていた。自らが下した判断を問う選挙でもあったのにね。

 C 新人の今田真人氏は「幅広い支持を得るために」と、共産公認ではなく無所属で出馬したけれど、周囲は党員ばかりだった。本人も「私から共産党を取ったら何も残らない」と共産色を弱める様子もなかった。

 B 沖縄県知事選を念頭に「市民と野党の共闘」を掲げたけど、陣営幹部も「佐賀では沖縄のような広がりはない」と認めていた。

 C 来年7月に参院選を控えている。無所属をうたっていても「党勢拡大につなげたい」という思惑が透けて見えていた。

 A 他の野党はオスプレイ配備計画受け入れ表明を強く批判していたのに、結局は対立候補を擁立することはできなかった。国政と同じように、県政での存在意義が問われるだろう。

★佐賀県知事選まとめページはこちら

このエントリーをはてなブックマークに追加